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子ども食堂利用者に 無料で自習室提供

2021年12月11日 05時00分 (12月11日 12時00分更新)
自習室を運営する東竜輔さん(右)と席の提供を受けた三道山子ども食堂の西出紀代美副代表=能美市小長野町の東白雅堂で

自習室を運営する東竜輔さん(右)と席の提供を受けた三道山子ども食堂の西出紀代美副代表=能美市小長野町の東白雅堂で

 能美市小長野町にある九谷焼の老舗問屋「東白雅(ひがしはくが)堂」が、中高生のため十月に店内に開設した有料の自習室を、三道山子ども食堂(同市三道山町)の利用者に無償で貸し出すことにした。新型コロナ禍による苦境を打開しようと、新たな分野に参入した三代目の若手が、食堂を利用する子どもたちの学習環境の厳しさを知り、席の提供を申し出た。異色の組み合わせで子どもたちの学びを支える。(平野誠也)

「集中できる場を」 能美の九谷焼問屋

 自習室を始めたのは、店の東浩一代表(60)の長男竜輔さん(22)。物置だった店内の一室を改装し、机といすを用意した。学習指導はしないが、自習に集中できる場所として「Solo Ben(ソロベン)」と命名。二十四時間換気をするなど、新型コロナウイルス感染対策を取っている。
 年中無休で、平日は午後三時から、土日祝日は午前十時から、いずれも午後十一時まで利用できる。十一人までの会員制で、一カ月一万一千円、三カ月だと月九千九百円などのプランがあり、現在は能美、小松両市と川北町の中高生八人が利用している。
 三道山子ども食堂を利用する家庭の中高生には一席分、空いている日は複数の席を来年三月まで無料で使えるようにした。
 一九五七(昭和三十二)年創業の東白雅堂は、感染拡大による観光業の低迷で土産品の需要が落ち込んだことなどが響き、苦戦していた。今春、大学を卒業し、家業を支えながら「何か新しいことにチャレンジしたい」と考えた竜輔さん。高校時代、自宅では勉強に集中できず、自習室があればと望んでいた経験を生かした。図書館より利用時間を延ばし、学習塾と比べて利用者の家計負担を抑えるよう差別化を図った。
 子ども食堂向けの席の提供は、関係者が見学に来たことがきっかけ。食堂を利用する母子家庭や障害者のいる世帯では、子ども用の個室がない場合や、経済的な余裕がなく塾に通えないといった事情があると知った。
 図書館が感染防止のため座席数や利用時間を制限している中でもあり、「勉強場所にも生活にも困っている人のためになればと考えた」。
 子ども食堂副代表の西出紀代美さん(70)は「このようないい環境の中で、無料で勉強できるのは理想的。本当にありがたい」と感謝する。竜輔さんは「夜遅くまで集中して勉強できる場所の提供という本来の目的の中で、できる地域貢献を続けたい」と話す。今後は不登校の子どもたちの勉強場所に活用する案も、ともに話し合っているという。

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