アユ 終盤猛追 初期はF1&湖産機能 2021シーズン回顧
2021年12月8日 05時00分
例年になく後半は台風や出水が少なく、かなり遅くまで友釣りが楽しめた2021アユ。2年連続でコロナ禍スタートとなったが、全体的にはいい年だったといえるだろう。今シーズンを振り返ってみたい。 (中日釣ペン・餌取春義)
【前半戦】長良川は河口堰(ぜき)での天然遡上(そじょう)計測数から心配された今シーズンだが、センター海産系F1が初期から機能した。しかも、初期にしては良型がよく掛かった。それはセンターF1主体の板取川上流にもいえ、増水スタートながら良型乱舞の好発進となった。
放流河川では5月に増水があり、水温低下も含め成育状況にかなり影響を及ぼした。飛騨川管内の白川は、成育遅れで小ぶりながら数釣りで他を圧倒した。ほかにも成育遅れや増水スタートの河川はあったが、水況が回復するにつれて成育も良くなり、徐々に良化していった。
一方、増水や水温低下などお構いなしに良型湖産アユが楽しませてくれたのが馬瀬川下流。半端ない釣れ方で文字通り、さく裂した。飛騨方面の宮川下流などもそうだった。度重なる増水と河川復旧工事による濁りで解禁が7月にずれ込んだ益田川は、その分、川が出来上がり、開けてみれば好スタートで何とか態勢が整った。
こうして長良川も湖産放流河川も、梅雨時を何とか乗り越えて軒並み順調。適度な出水が、川の全体的な出来上がりにつながったと見ることができるだろう。
【後半戦】7月17日に梅雨明けすると、いい感じで最盛期へ突入した。長良川は遅くに上がった天然遡上の小型が目立ったものの早く上がったアユはサイズも良くなり、センターF1からうまくシフトチェンジ。同時に圧倒的な放流量を誇るセンターF1もさらにサイズアップ。長良川中央でも25センチ前後が竿を曲げてくれた。当初は生育遅れで小型が多かった付知川も、一気に成長して良型化した。
しかし、喜んでいたのもつかの間、8月のお盆には全国的な大雨に見舞われた。飛騨川でも白川町では昨年に続いて2年連続で氾濫した。益田川も国道が崩れ、昨年の洪水(令和2年7月豪雨)の復旧工事の最中での大増水で打撃を受けてしまった。
この期間の長雨で各河川とも水引きが悪い状況になった。その後、9月に入ると、網漁で放流河川がほぼ終了に向かうなか、天然遡上河川が急速に上向いた。当然といえば当然だが、これが海産の強みだ。
北陸河川でも九頭竜川では昨年の大アユラッシュには及ばないものの、20センチ前後の数釣りでフィーバーが巻き起こった。神通川も同様に、真っ黄色の海産パワーが全開となった。
長良川中央も増水後は川全体が出来上がり、緊急事態宣言が解除された10月には多くの釣り人で大にぎわいだった。郡上管内もシーズンを通してよく釣れ、天然遡上も計測数以上だったようだ。その証拠に、漁協に出荷で持ち込まれたアユは過去最高だった年の約4トンの約1・5倍となる6トンを超えた。
【来年へ向け】今年は台風の影響がなく、終盤もアユがなかなか落ちずに過去に例がないくらい遅くまでアユ釣りが楽しめたが、これにより産卵が遅れて来年の遡上が少し心配な面もあるかもしれない。ただ、長良川では岐阜市内の鏡島大橋での瀬張り網漁が好調という。一部アユが人工ふ化事業へ搬送され、同事業が順調に進んでいるのが何より救いだ。
2年連続のコロナ禍だったが、釣り人の心掛けもあり、友釣りが安全であることはあらためて実証されたのではないだろうか。
反面、川の水難事故は増加しており、安全に対する意識を高める必要がある。決して無理はしないこと。ライフジャケットなど救命具の普及をメーカーも真剣に考えていくべき時代だと感じた。もちろん、釣り人もだ。コロナが収まって自然災害さえなければ、来シーズンもきっといい年になるだろう。
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