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<MIKAWAサーチ> (48)甲子園、東海大会出場なしもプロ3人輩出 豊橋中央の秘密探る

2021年12月6日 05時00分 (12月6日 16時34分更新)
練習後のミーティングで選手らに指導する萩本監督(左)

練習後のミーティングで選手らに指導する萩本監督(左)

  • 練習後のミーティングで選手らに指導する萩本監督(左)
  • ブロックの上で打撃練習を行う選手=豊橋市大山町の豊橋中央高グラウンドで
 直近七年間、プロ野球から支配下指名を受けて高卒でプロ入りした選手の多い県内の高校はどこか? 一位は中京大中京(名古屋市)の四人、三位は東邦(同)の二人。この「私学四強」の二校に割って入るのが、豊橋中央(豊橋市)の三人だ。甲子園や東海大会出場といった目立った実績がないのに、なぜ相次いでプロ選手を輩出できたのか。冬場の練習に一日密着し、秘密を探った。 (斎藤徹)

負けん気と工夫で飛躍 精神鍛える監督の指導

 終業のチャイムが鳴ると、部員たちは校内の自転車置き場に直行する。自転車で向かう先は豊橋市鍵田町の同校から、約六キロ離れた同市大山町のグラウンド。二十分ほどかけて到着すると、すぐに監督室で体重計に乗った。萩本将光監督(39)は「今度のテストの赤点は大丈夫そうか」「もっと食べないと」などと声を掛ける。
 一九二五(大正十四)年に愛知和洋裁縫女学校として開校。長らく女子高として歩んだ。現在の校名に改め、男女共学となったのは九七年。二〇〇二年、野球同好会が発足し、〇四年に野球部が誕生した。グラウンドはサッカー部と兼用のため、打撃練習は週に二日だけで屋内練習場もない。
 わずか十七年間の歴史で、プロ選手が誕生した理由が分からなかった。萩本監督に質問すると、「トップ選手は誰でも私学四強に行きたいが、多くはかなわない。その中にいる負けん気の強い選手を集めて育てれば、四強に対抗できる」と明かしてくれた。
 このため中学生をスカウトする時、気にするのは三振や凡退の時の態度だ。気丈に振る舞ったり、笑っている選手もいる。獲得を図るのは意外にも、ふてくされたり、下を向いている選手という。萩本監督は「野球に真剣になり、自分と向き合っているからこそできる態度」と明かす。
 今年、プロ野球の中日ドラゴンズからドラフト五位指名を受けた星野真生内野手も「野球にも自分にも真剣という意志を感じた」と振り返る。時には厳しく接し、二年の時、主将としての振る舞いに悩んでいた星野内野手を外野にコンバートしたことも。この経験が発奮を促し、後の勝負強さを生んだ。星野内野手は中日と仮契約をした時、報道陣に「萩本監督は精神的に未熟だった自分を鍛えてくれた」と答えていた。
 練習にも工夫を凝らしている。強豪校の多くは夜遅くまで続けるが、豊橋中央は学校の規定で午後七時まで。短い時間で効率よく取り組む必要がある。取材に行ったこの日、見たことのない風景を見た。ブロックに乗った状態での打撃練習だ。体の軸を意識し、体勢を崩さないことを身に付けさせるためという。
 萩本監督は「負け続けているチームなので、勝つためには新しいことを取り入れるしかない」と話す。星野内野手を視察しに来ていたプロ野球のスカウトの一人も「強豪校は型にはまりがちだが、伸び伸びと華のあるプレーがしやすいチームだ」と評価していた。
 一六年に卒業した谷川原健太捕手(ソフトバンク)は今季プロ初本塁打を放つなど、外野のレギュラーをつかみつつあり、プロ一年目の中川拓真捕手(オリックス)は二軍で力を蓄えている。私学四強への対抗意識と監督の理念に基づいた練習が、スター選手を生み出しているように感じた。

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