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【石川】杜氏・農口さん勝訴 「農口尚彦」ラベル 利益侵害

2021年12月4日 05時00分 (12月4日 09時55分更新)
農口尚彦さんが杜氏を務める「農口尚彦研究所」の酒

農口尚彦さんが杜氏を務める「農口尚彦研究所」の酒

  • 農口尚彦さんが杜氏を務める「農口尚彦研究所」の酒
  • 「杜氏 農口尚彦」と書かれていた農口酒造の酒
  • 農口尚彦さん

金沢地裁 酒造側に賠償命令

 全国のファンから「酒づくりの神様」と称される杜氏(とうじ)の農口(のぐち)尚彦さん(88)=石川県能登町=が、退職した「農口酒造」(同県能美市)の商品や広告に自身の名前を使わないように求めた訴訟の判決が三日、金沢地裁であった。吉川健治裁判長は、酒造側が営業上の利益を侵害したと認定し、商標の使用料など約二百四十五万円の賠償を命じた。
 判決によると、農口さんは二〇一三〜一五年に農口酒造で酒を造った。退職後、酒のラベルやウェブサイトで自身の名前を使わないように求めたが、酒造側はしばらく使い続けていた。
 農口さんは現在、農口尚彦研究所(同県小松市)で杜氏をしている。裁判では「農口酒造の酒を、自分が造った酒だと誤認して買う人がいた」として、営業上の利益が侵害されたと訴えていた。判決は、農口さんが酒造りで現代の名工に選ばれた実績に触れ「酒造は名前の使用で混同を生み、農口さんの杜氏としての名声を毀損(きそん)した」と認めた。
 酒造側は「農口さんが造った酒が残っていた」と反論していたが、判決は、造られた酒の量などを考慮すると「遅くとも二〇一七年四月一日までに消費された」と認定。それ以降に名前を使って酒を販売した行為は「全て不正競争にあたる」と結論づけた。
 判決を受け、農口さんは「主張がほぼ認められてほっとした。今後は名前を使用しないことをしっかりと守ってもらいたい」とコメントした。農口酒造の渡辺忠社長(78)は、本紙の取材に「悪いことは全然していない」と答え、今後も争う姿勢を示した。商標トラブルを巡っては、農口さんは一八年、酒造に名前を使わせないように求める仮処分を申請。地裁は一九年五月に、仮処分を認める決定をした。

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