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人生シーズン2 町家カフェ開店 「9係」「花嫁のれん」監督・新村さん 金沢に帰郷

2021年12月4日 05時00分 (12月4日 10時27分更新)
築100年の町家の店構えを紹介する新村良二さん=金沢市東山のカフェくろねこで

築100年の町家の店構えを紹介する新村良二さん=金沢市東山のカフェくろねこで

  • 築100年の町家の店構えを紹介する新村良二さん=金沢市東山のカフェくろねこで
  • 和風でゆったりとした座敷。テーブル席もある=金沢市東山のカフェくろねこで

「お客さん笑顔に」変わらぬ願い

 映像作品の世界を離れて新たに「監督」したのは、地元の町家カフェだった。「警視庁捜査一課9係」などの人気テレビドラマや映画で監督を務めてきた、金沢市出身の新村良二さん(64)が、九月から同市東山で「カフェくろねこ」を始めた。目まぐるしい新生活で、かつての日々にも似た喜びを感じている。 (高橋雪花)
 「いらっしゃいませ」。門をくぐり、築百年になる木造の店に訪れた客を、黒猫柄のエプロンをした新村さんが出迎える。スローテンポのジャズが流れる店内で、ミルクの泡に猫の顔を描いたカフェラテを差し出す。ドラマ「特捜9」「花嫁のれん」をはじめ多くの作品を手掛けてきた新村さんにとって、二年前は想像だにしていなかった生活だ。
 映画館隣の家で育ち、映像制作に引かれていくのは必然だった。進学した金沢美術工芸大では地元の飾り職人を追うドキュメンタリーを撮り、卒業後すぐ東京に出た。監督としてのポリシーは、小手先のテクニックに逃げず、登場人物にシンプルに迫ること。「9係」の打ち上げで、主演の故渡瀬恒彦さんが皆に「こいつはこんな顔してるんだけどね、フランス映画みたいな作品を撮るんだよ」と褒めてくれた時は、照れくさくもうれしかった。
 業界の世代交代で仕事に一区切り付け、四十年ぶりに帰郷し、漠然と憧れていたカフェを開くことにした。一年近く場所を探してこの町家に巡り合った時、一目で心を奪われた。思い出したのは、映画やテレビの撮影場所を探す、通称「ロケハン」。「僕たちを呼んでいると感じ、台本の設定を変えてでもその場所を選ぶ『幸福なロケハン』がある。そんな引力を感じた」
 町家の魅力を生かす内装にしたり、客が求めるものを見極めて接し方を変えてみたり。素材の力を引き出し、人の感情にアンテナを張るのは、監督業に通ずるものを感じる。とはいえ「『あ、卵が無い』『オムライスをもっとおいしくするにはどうすれば』とか必死に考えていて、まだそんな余裕は無いけど」と笑う。
 店は月曜定休。二階をギャラリーにするなど、文化や芸術の場としての活用も期待する。「人に喜んでもらうためにドラマを作ってきた。カフェも、良い気持ちで笑顔で帰ってもらいたい。それだけです」。思いはシンプルだ。
  ◇     ◇     ◇ 
 五日午後三時から、同店で俳優鈴木一功さんによる一人芝居「べっかんこ鬼」がある。入場料は税込み二千円で、ドリンクの注文が必要。予約は同店=電076(254)0632=へ。

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