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発達障害の子 細やかに支援 AI活用 適切な教育提案  

2021年12月2日 05時00分 (12月2日 09時56分更新)

発達障害の子どもたちの支援システムを開発している小越康宏さん(左)と妻の咲子さん=福井市の福井大文京キャンパスで

 3校で福井大、高専実験

 福井大と福井高専の研究者が連携し、発達障害があったり、心身に問題を抱えて不登校になったりしている子どもたちの支援システムを開発している。日々の行動を基に人工知能(AI)が適切な教材やサービスを提案する個別教育支援システム「ぴこっと」。十一月から県内の小学校と特別支援学校の計三校で実証実験が始まっている。 (波多野智月)

「ぴこっと」の行動目標の例=福井大提供

 ぴこっとの開発は、福井大学術研究院准教授の小越(おごし)康宏さん(福祉工学)と、妻で福井高専電子情報工学科准教授の咲子さん(認知工学)が中心となって進めている。今回の実証実験は教員や保護者のニーズを把握し、より簡単に使ってもらえるシステムにすることが狙いだ。
 発達障害の子どもの状態は多様で、成長と共に変化するため、必要な支援を把握することが難しい。また、進学する時に子どもの特性が学校間でうまく引き継がれないことがあり、継続的な支援にも課題がある。
 「ぴこっと」は学校や家庭で子どもに達成してほしい行動目標を設定し、達成の度合いを見ながら支援計画を立案するウェブ上のシステム。目標は「友達と一緒に楽しく遊べた」「あいさつができた」など千五百項目から数項目を選択する。子どもの特性に応じて新たに作ることもできる。家族や教員などが、子どもの日々の行動を見ながら目標を達成できたかどうかを毎日五段階で評価し、気づいたことをコメントする。
 達成の度合いはデータベースで関係者に共有される。子どもの困り事や成長の様子が一目で分かるため、継続的な支援計画を立てやすくなる。また、蓄積されたデータを基にAIから学習教材や外部の支援サービスが提案され、よりきめ細かな支援につなげることができる。
 二〇一六年十月〜一九年三月、県内十三校の協力を得て試験運用した際に実施したアンケートでは、76%の教員・保護者がシステムを通して子どもの様子を具体的に見られるようになったと回答。AIによる外部支援サービスの提案は、72%が有効とした。
 現在、県教職員組合が小学校と特別支援学校を対象に実証実験への参加募集や相談を受け付けている。康宏さんは「どうすれば現場の教員が無理なく使えるか、質を上げながら実際に使えるようにしていく」と語る。咲子さんは「障害の有無にかかわらず、誰ひとり取り残さない教育に結び付けていきたい」と話している。

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