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ソダシが折ったのは乳歯 歯替わりでリスク要因がひとつ取り払われた【獣医師記者コラム・競馬は科学だ】

2021年12月3日 06時00分

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ソダシ

ソダシ

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 プロ野球はかなりうとい記者だが、元巨人・江川選手と、元阪神・掛布選手の背番号は覚えている。さすがに今の学生は使わないようだが、獣医師国家試験の勉強にこんな語呂合わせがある。「江川の耳、掛布の耳、大耳」。これ、背番号を知らないと意味がない。
 動物ごと異なる歯の数について、切歯(せっし)、犬歯(けんし)、前臼歯(ぜんきゅうし)、後臼歯(こうきゅうし)の本数を、この順で表したものが「歯式」だ。馬は上下共通だが牡牝で異なる。牝馬は犬歯がなく「3033」。牡馬は犬歯があり「3133」。牛は上に切歯がなく「0033」。牛の下「4033」はこの語呂合わせに組み込まれておらず、記者は後半を「しと(人)の耳は大耳」と改変して覚えた。
 幼少時におじいちゃん子だった記者は、祖父が阪神ファンだったので掛布選手の「31」はなんとなく覚えていたが、江川選手の「30」は、むしろ歯式からの逆算で知った。どちらかが実際に「大耳」なのかは、よく知らない。
 この歯式は永久歯の本数。馬では前臼歯より前の、牡馬の犬歯を含め7種28本(上下左右で4倍)に乳歯があり、競走期に永久歯に生え替わる。後臼歯は9カ月齢ごろから、前から順番に永久歯が生える。
 チャンピオンズCで初ダートのソダシは、秋華賞のゲート内で歯を折ったのが不運。人のように「歯を食いしばる」ということはないものの、歯が折れればかなり痛い。まともに走れという方が無理だ。
 担当の今浪厩務員によると、折ったのは下の左2番目。「中間歯」と呼ばれる切歯で、乳歯だった。時期の個体差は大きいが、永久歯に生え替わるのは標準的には生後3年半ごろとされる。ソダシは3月8日生まれなので、秋華賞はちょうど生え替わるかどうかというタイミング。ソダシの左下の中間歯は、前走のアクシデントを受けてほどなく抜歯した。ちょうど直後に永久歯が生えてきている。
 歯替わりは、永久歯が頭をもたげてきて歯茎を刺激するのと同時に、永久歯に押されるようにして乳歯が抜ける時のうずうず感もストレスだ。ソダシはリスク要因がひとつ取り払われた状態で、あらたなカテゴリーへの挑戦を迎えることになる。

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