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民族の力で未来つなぐ アイヌの詩人宇梶さん、北海道に移住

2021年12月1日 05時00分 (12月1日 05時00分更新)
北海道に移住する宇梶さん(左奥)を囲む歓送会=東京都内で

北海道に移住する宇梶さん(左奥)を囲む歓送会=東京都内で

  • 北海道に移住する宇梶さん(左奥)を囲む歓送会=東京都内で
  • 刺しゅうが入ったアイヌの衣装を着る宇梶さん=埼玉県内で
 東京を拠点に活動した、アイヌ民族の詩人で古布絵作家の宇梶静江さん(88)=埼玉県白岡市=が十一月二十四日、北海道白老町に移住した。半世紀前の一九七三年、東京ウタリ(同胞)会を設立し、アイヌの権利回復運動の中核を担ってきた女性だ。なぜ、人生の最晩年を北の大地で暮らす決断をしたのか−。民族としての存在さえも不可視化され、深い痛みを抱えて生きてきたアイヌが声を上げ始めた。 (木原育子)

子守歌きっかけ 北海道・白老町に「シマフクロウの家」

 「よく来てくれたね。今まで本当にありがとう」
 二十二日夕、東京都内であった歓送会で、宇梶さんが仲間たちを出迎えた。テーブルには、サケ、カニ、イカ…。アイヌ民族が好んで食べる魚介類が並べられている。
 思い出話に花を咲かせていると、宇梶さんが目を閉じた。まぶたに映っていたのは故郷の波打つ潮騒、フクロウがいる森だったか。「私の子守歌はね、波の音だったの」と宇梶さんが言うと、「アルラッサー、オーッホホオオ…」。母がよく歌ってくれたというイフンケ(子守歌)を披露した。
 喉を鳴らし、自然と一体になることで生きる民族としての敬意と矜持(きょうじ)がリズムをつむぐ。和人の...

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