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ハシモト清 社長 橋本卓尚さん(39) 高岡仏壇 技術つなぐ

2021年11月30日 05時00分 (11月30日 10時03分更新)
「高岡仏壇の職人技術を残せるように市場開拓と世界進出を目指したい」と夢を語る橋本卓尚さん=富山県高岡市あわら町で

「高岡仏壇の職人技術を残せるように市場開拓と世界進出を目指したい」と夢を語る橋本卓尚さん=富山県高岡市あわら町で

 伝統産業「高岡仏壇」で知られる富山県高岡市。創業八十年近い神仏具・仏壇・仏像製造卸「ハシモト清(せい)」の社長として、高岡仏壇の技術を後世に残そうと新たな市場開拓に挑んでいる。
 金沢工業大を卒業後、福井県で人材育成会社に就職。人と接する苦手意識を乗り越えようと、あえて営業職を選んだ。電気工事会社への転職を経て、二〇〇九年に家業である今の会社に入社。「何一つ分かっていなかった」と振り返る。営業職から始め、製造場や研磨、着色、彫金の職人を訪ね歩き、一から教えを請う日々が続いた。
 一四年に初めて葬祭サービス産業の総合展示会「フューネラルビジネスフェア」への出品を提案した。海洋散骨の際に遺骨の一部を身近に置く手元供養や壁掛け仏具がはやった時期に、真ちゅう製やガラス製の骨つぼを発表した。御朱印や仏女が話題になった時期だったが、仏壇業界に目が向けられることは少なかったといい、「職人の技術を商品で伝える側は何ができるかを考えてばかりいた」と振り返る。
 展示会では、墓じまい後に骨つぼを納骨堂に受け入れてもらうには粉骨、洗骨、乾骨が欠かせないことを知り、それらをグループ会社で手掛ける。
 「生き残るために何かしなければ」。一八年に社長に就任してからも模索は続く。倉庫で眠っていた香炉など千個以上のデッドストック(売れ残り)に着目した。通常は溶かして原材料に戻す品々。知人の若手デザイナーらの協力もあり、香炉をサボテンなどを植える鉢「わびさびポット」に生まれ変わらせた。
 当初、仏具に穴を開けてもいいのだろうかという心配もあった。全日本宗教用具協同組合に批判の意見も届いたが、「職人技術を後世に残したい」との思いを業界が認めた。SDGs(持続可能な開発目標)やアップサイクル(創造的再利用)として注目され、展示会には多数の来場があった。「仏具は古くさい、いらないと言われ続けたが、初めて『カッコイイ』という言葉を聞けた」と次にアロマポットの市場も見据える。
 「作り手の思いを売り手が客に伝える仕事をしたい。高岡の伝統産業は歴史ストーリーが強み。高岡銅器では四十代で世界に挑戦した先輩が多い。新たな視点で自分も世界を目指したい」。四十歳を前にさらなる挑戦に闘志を燃やす。(武田寛史)

【会社メモ】1945年に高岡仏壇の製造卸として創業。70年にハシモト清として法人化。従業員12人。手元供養の真ちゅう製骨つぼ、仏具の五具足、おりんなどを取り扱う。樹木葬、納骨堂、海洋散骨、手元供養のための粉骨、洗骨、乾骨はグループの高岡仏壇仏具センターで扱う。本社は富山県高岡市あわら町。


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