本文へ移動

【石川】教育格差 地域で解消 金沢の子ども食堂 学びの場に

2021年11月29日 05時00分 (11月29日 12時42分更新)
学習支援のボランティアから学ぶ児童(左)ら=金沢市平和町で

学習支援のボランティアから学ぶ児童(左)ら=金沢市平和町で

  • 学習支援のボランティアから学ぶ児童(左)ら=金沢市平和町で

塾通えぬ子ら把握、支援

 家庭の事情で学習塾に通えなかったり、放課後に孤立したりしている子どもたちを対象に、金沢市内の子ども食堂などが学習支援に取り組む動きが出てきた。手助けを必要としているが、行政の目が届きにくい層に、地域のつながりを生かして働き掛けて支える試みだ。識者は「一緒に考える人がいることで、子どもの自信になり、学習のつまずきを取り除ける」と期待する。(押川恵理子、写真も)
 「こんばんは」。十一月上旬の夕方、金沢市平和町のショッピングセンターに児童や学生らが集まってきた。小学二年の女子は苦手な主語と述語の見分け方を学習支援のボランティアに教えてもらい、にっこり。
 子どもたちの様子を温かく見守るのは平和こども食堂代表の松本文(あや)さん(51)。自身もかつてシングルマザーで、三人の子どもを育てた。「塾の費用を出せない家庭もある。学力の底上げをする場が必要だと思った。自分もしんどかった分、助けたい」。文部科学省の二〇一八年度調査では、世帯年収が高くなるほど、学習塾や習いごとの費用が増える傾向がみられた。
 平和町での学習支援は、金沢市新神田の子ども食堂「かなざわっ子nikoniko俱楽部」が市の助成を受け、七月に始めた。二二年度は平和こども食堂が主体となって続けたいと松本さんは願う。学習支援の場所や人材の確保に協力する北陸学院大の田中純一教授は「困っていても声を上げられない人に気づけるのは地域住民」とみる。家庭教師や塾の経験を生かしてボランティアに加わる同大四年の伊藤康洋(こうよう)さん(22)は「子どもたちには学ぼうという自発性を感じた」と話す。金沢大付属高校の生徒たちも協力している。
 金沢市石引の児童養護施設「梅光児童園」は昨年夏から毎月二回、学習支援を続ける。ニーズは地域の民生委員・児童委員を通じて把握した。放課後に自宅で一人っきりで過ごし、食事をせずに夜中までゲームを続けるといったケースがあった。今は小学生ら十五人が通い、施設職員と大学生のボランティアが勉強の仕方を教えている。
 「机の前に五分も座っていられなかった子が宿題に自ら取り組み、学校での様子も落ち着いてきた。当初ばらばらだった子どもたちも最近のキャンプでは和やかに過ごせた」と大塚哲司(さとし)園長は話す。学習支援をきっかけに子育てに悩む母親らの相談にも乗っている。
 「行政の目が届かないところに目を向け、子どもたちの成長を支えていきたい。こうした拠点がいろいろな地域に生まれることが大切だ」と話す。

「市、団体助成や学生派遣」

 金沢市は本年度から、地域の子どもを見守り、学習支援に取り組む民間団体に対して二百万円を上限に助成している。市子育て支援課の担当者は「団体側が各家庭の悩みを聞き、行政の支援にもつなげられる」と狙いを語る。市によると、助成を受けていない団体も含め、計八団体が学習支援に取り組んでいる。
 市は助成事業のほか、小中高生の子どものいる家庭に大学生ボランティアを派遣し、中高生を対象とした教室も開いている。いずれも無料で、就学援助などを受ける生活困窮世帯が対象。教室は市松ケ枝福祉館で金・土曜に毎月六回ほどあり、十月末現在で中学生十二人、高校生三十一人が登録している。ボランティア派遣と教室の併用はできない。
 「学力格差を生まないようにしたい」と市子育て支援課の担当者。学習支援に関する問い合わせは、同課=電076(220)2285=へ。

関連キーワード

おすすめ情報