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愛知「リコールの会」収支報告 支出の5割超、詳細不明

2021年11月29日 05時00分 (11月29日 05時01分更新)
 愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を実施した活動団体の二〇二〇年分の政治資金収支報告書が二十九日付で公開された。支出の五割以上に当たる三千二百五十六万円は使途の詳細が記されておらず、署名偽造事件の刑事裁判などで団体が支出したと指摘された名簿代や偽造のアルバイト代の記載もなかった。
 団体は「お辞め下さい大村秀章愛知県知事 愛知100万人リコールの会」で、署名集めは同年八〜十月に実施された。
 愛知県選挙管理委員会が公表した報告書によると、支出は五千七百五万円。このうち使途が明示されているのは、事務所の家賃や署名用紙の印刷費など二千四百四十八万円だった一方、何に使ったのか詳細が書かれていない分は二千五百四十二万円あった。政治資金規正法では五万円未満の支出に領収書の添付が必要なく、詳細が書かれていない支出は五万円未満の支出の合計などとしている。
 「人件費」の支出は七百十四万円と記載しているが、これも支払いを証明する資料の添付は必要なく、計三千二百五十六万円は詳細が分からない。
 収入は六千百二十一万円で、このうち四千八百二十六万円はクラウドファンディングなど「個人からの寄付」。団体の会長で美容外科「高須クリニック」院長の高須克弥氏から千二百万円を借り入れていた。
 会計責任者は団体の事務局長で、署名を偽造したとして地方自治法違反罪で公判中の田中孝博被告(60)。本紙の取材では、田中被告は団体の小切手や口座から引き出した現金で、大勢のアルバイトによる署名偽造の費用として名古屋市内の広告関連会社に計千五十万円を支払っている。
 さらに、田中被告の初公判で検察側は、田中被告が偽造に使う名簿の購入代金五百三十三万円を団体の口座から引き出したと指摘。これらの支出は報告書に記載がなく、使途の詳細が分からない支出に含まれている可能性がある。
 田中被告はこれまでの取材に、団体の資金を署名偽造には使っていないと説明している。高須氏も取材に「田中事務局長が資金の不正流用をしていれば、業務上横領罪で事件化されるはずだがされていない。これらの事情に照らせば報告書の支出に紛れ込んでいないと考えます」と代理人を通じて回答した。

「ザル法」の欠陥あらわ

 公表された報告書は使途の分からない支出が目立ち、「ザル法」とされる政治資金規正法の欠陥をあらためて浮き彫りにした。
 政治資金問題に詳しい神戸学院大の上脇博之教授は、田中被告の公判で指摘された支出の記載が見当たらない点について「明らかな齟齬(そご)があり、虚偽記載や不記載に当たる可能性がある。資金の流れを外部の目でチェックするという法の趣旨からして、ずさんと言わざるを得ない」と指摘する。虚偽記載などの違反は五年以下の禁錮または百万円以下の罰金が科される。
 現行の制度では、一定額未満の支出や人件費などで明細を記さなくてもよい「抜け道」も多い。上脇教授は「より透明度を高める法改正を検討する必要がある。国民が監視できる制度の実現が公正な政治活動の実現に資する」と話した。

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