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【石川】交通賠償 迷ったら頼って 紛争処理 金沢相談室20年

2021年11月28日 05時00分 (11月28日 10時56分更新)
事故の当事者から受けた相談の傾向を話す北村賢治事務長(右)と渡辺智美弁護士=金沢市本町で

事故の当事者から受けた相談の傾向を話す北村賢治事務長(右)と渡辺智美弁護士=金沢市本町で

  • 事故の当事者から受けた相談の傾向を話す北村賢治事務長(右)と渡辺智美弁護士=金沢市本町で
  • 路面凍結によるスリップが原因とみられる多重事故=金沢市乙丸町で

「弁護士代無料」「賠償増額例も」一方 知名度低く利用減

 「交通事故に遭った人しか知らない」と言われる相談機関がある。しかも、弁護士が事故の賠償額を巡り当事者双方の話を聞いて、中立な立場で和解のあっせん案を示し、賠償金が増えるケースもあるのに無料という。その存在が交通事故紛争処理センターだ。引く手あまたかと思えば、北陸三県を担当する同センター金沢相談室への相談件数はピーク時(二〇一五年度)の二百二十四件から一九年度に百三十五件と四割減。相談室は積極的な利用を呼び掛けている。(寺田結)
 「今も保険会社からの紹介で知る人がほとんど。だから活動内容も知られていない」。十一月に開設二十年を迎えた金沢相談室(金沢市本町)の北村賢治事務長が残念そうに話す。
 交通事故でけがを負ったが損害保険会社の示した賠償額に納得できない場合、弁護士が被害者と加害者から話を聞き、裁判事例などを用いて和解案を示し、円滑な交渉を後押しするのがセンターの役割だ。
 賠償額は訴訟で争う方法もあるが、センターを利用すれば、費用がかからず、短期間での解決が期待できるのがメリットという。
 北陸三県の住民らから金沢相談室が受けた相談は、この二十年で三千三百六十七件(十月三十一日現在)。四分の三が和解し、このうち八割は、二カ月以内で和解が成立しており、確かにスピーディーと言える。また、相談室を一度訪れた後は、電話で対応することも多いといい、何度も足を運ぶ煩わしさや精神的負担も少ない。
 利点が多くあるのに金沢相談室への相談は、交通事故の発生自体が減っていることもあり、一五年度のピーク以降、減る一方。新型コロナウイルスの感染拡大が本格化する前年の一九年度には百三十五件まで落ちた。二〇年度もほぼ同数の百三十八件。二一年度も十月末まで同傾向だ。
 保険会社が示した賠償額で示談してしまったら、取り消すことはほぼできない。金沢相談室に嘱託勤務する渡辺智美弁護士は「示談の書類は法律の専門用語が多く、読み方が分からない人は多い。少しでも迷ったら、センターに頼ってほしい」と話している。
 紛争処理センターは、東京本部や各支部を含めて全国計十一カ所にあり、金沢相談室は北陸三県県内で起きた事故の当事者か住民が対象。問い合わせは=電076(234)6650=へ。

【メモ】交通事故紛争処理センター=損害保険会社などが資金を出してつくる公益財団法人の全国組織。人身事故の場合、加害者側が加入している保険会社が一方的に賠償額を提示することが多い。その場合、被害者側の保険会社は絡まないため、保険に弁護士特約を付けていない被害者には相談できる相手がおらず、知識のない状態で賠償額を確認し、返事しなければならない。センターはその知識不足をカバーすることで、円滑な交渉を後押しするほか、物損事故の過失割合の再検討なども行う。


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