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【北の富士コラム】貴景勝を圧倒した阿炎 照ノ富士に勝つには突っ張りあるのみ 強く当たり突き放せ

2021年11月27日 05時00分

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阿炎(右)は押し出しで貴景勝を破り1敗を守る

阿炎(右)は押し出しで貴景勝を破り1敗を守る

◇26日 大相撲九州場所13日目(福岡国際センター)
 優勝争いは横綱、大関、そして阿炎の3人に絞られている。
 その貴景勝と阿炎との大一番。私はラジオの解説をしていたが、予想を聞かれ、次のように答えている。「阿炎が突っ張りで間隔を遠くできたら、阿炎の勝ちは十分にあるだろう。もし体を密着させたなら貴景勝の押しが生きる」。そしてズバリ、阿炎の方が有利と語っている。
 立ち合いは貴景勝の方が良かったが、阿炎がもろ手突きで突き放す。よく腕が伸びた突っ張りで貴景勝が大きくのけぞった。その機を逃さず阿炎が矢継ぎ早に突っ張る。特に右からののど輪が的確に貴景勝に命中する。
 なんとかこの猛攻を左に回り込んでかわそうとするが、阿炎の追撃は誠に厳しく、とどめは頭で当たる念の入れようで、絶好調の大関を土俵下まで吹っ飛ばした。圧倒的な阿炎の突っ張りと出足は驚くばかりである。この強さは、ただの好調というだけではすみそうにもない。
 謹慎以前の阿炎は元気だけが取りえのどこにでもいるような並の相撲取りだったと思う。だが今場所の阿炎は全く違う力士に生まれ変わってしまった。突っ張るより、はたく方の多かった取り口が今場所は一番もない。ほとんど突きと鋭い出足で勝っている。
 もうひとつ変わったのが、突き切れない時は頭で当たることを覚えたことだ。これは言うのは簡単だが、なかなかできることではない。そして阿炎は長身で足長である。私も阿炎ほどでないが、体形的には似ている。私はとてもこんな相撲は取ったことがない。ないというより、不可能だったと言った方がいい。
 もしこの相撲が本物だとしたら大化けするだろう。14日目は照ノ富士戦である。私も2人を対戦させたい一人だったので、この取組は願ってもない対戦である。もし照ノ富士が勝ったら優勝が決まる。おそらく照ノ富士も一発で決めるつもりだろう。組んでしまえばそれまでだ。
 一方の阿炎は突っ張りで勝機を作ることしか策はない。もしチャンスがあるとすれば、徹底的に離れて取り、照ノ富士の焦りを誘うことができたら勝機もあるだろう。立ち合いにいかに強く当たり、突き放すこと。勝利への道はこの一点のみ。
 対する照ノ富士は御嶽海戦のような立ち合いができたら、阿炎の当たりを組み止めるのはそう難しくはないと私は思う。そういう訳で照ノ富士の優勝は14日目に実現するだろう。もしも私の予想が外れたときは、もう1日楽しめると思っていただけたら幸いです。
 さて夜の食事はどうしましょうか。12日目の夜はおいしいものをたくさんいただきました。残すはあと2日。何を食うのか慎重に考えたいと思います。来年は果たして来られるかどうか分かりませんから…。これ、意外に本気かもしれません。(元横綱)
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