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「命綱」医療者に感謝の写真展 東京の作家・津のギャラリーで

2021年11月26日 16時00分 (11月26日 16時00分更新)
夏帆さんを幼い頃から診てくれた主治医との写真を見つめる河田さん=津市美里町三郷の「gallery0369」で

夏帆さんを幼い頃から診てくれた主治医との写真を見つめる河田さん=津市美里町三郷の「gallery0369」で

 「医療への信頼」と題した写真展が津市美里町三郷の「gallery(ギャラリー)0369」で開かれている。作家の河田真智子さん(68)=東京都=が、重度の知的障害と身体障害のある娘を支えてきた医師や看護師らの姿を記録した作品が並ぶ。新型コロナウイルス禍の中、医療従事者への感謝の気持ちが込められている。 (坂田恵)
 河田さんの長女夏帆(なつほ)さん(34)は、生まれた時から脳に重い障害があった。長く生きられるか分からないとの思いから、河田さんは娘の姿を記録しようと、病院での診療の様子なども撮影してきた。
 ギャラリーを営む写真家の松原豊さん(54)が二〇〇四年、東京で河田さんの写真展を目にし、「ぜひうちでも開催したい」と招いた。
 河田さんは今回、夏帆さんが生まれた直後から三十四年間に撮りためた二万枚以上から二十六枚を選んだ。うち三枚は、夏帆さんを生後五カ月から診てくれた主治医との写真。患者と対等に接し、薬の量やリハビリの方法などを説明した後、必ず河田さんの意見も求めた。「親が子の状態を把握し、納得して命を守れる。ありがたかった」と振り返る。
 夏帆さんが二十一歳の時、その主治医にがんが見つかり他の医者と交代した。元主治医は四年後に他界したが、関係は亡くなるまで続いた。
 現在、夏帆さんは在宅で医療を受けている。呼吸器官が弱く、コロナ感染が拡大した昨春、河田さんは万が一のことも覚悟した。
 コロナ禍で医師の訪問医療は難しくなるばかり。「夏帆がもし感染したら、恐らく生きられない」。半ば無理だと思いながら、訪問医に「コロナに感染しても自宅で治療してもらえないか」と相談した。医師と看護師は「防護服を着て、来ます」と引き受けてくれた。その気概が心強く、「命綱」との思いを強くした。
 その看護師からは「コロナの感染拡大以来、一度も対面で人と食事をしていない」と聞き、医療現場の疲弊も垣間見た。
 展示に向けて見返した三十四年間の記録。そこにあったのは、食事や睡眠の時間を割いてでも一人一人の患者に向き合う医師や看護師らの姿だった。河田さんは「夏帆は医療従事者に支えられて生きてきた。『医療を大事にしてほしい』というメッセージになれば」と話している。展示は二十八日まで。問い合わせは同ギャラリー=電059(279)3703=へ。

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