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<大波小波> 寂聴追悼

2021年11月26日 16時00分 (11月26日 16時00分更新)
 新聞や雑誌では、瀬戸内寂聴の追悼や関連する記事の掲載が続いている。読者欄等でも死を嘆く一般市民からの投稿を見かける。追悼コーナーを設ける書店や図書館も少なくない。瀬戸内寂聴という作家が、いかに広く愛される存在だったか、改めて認識させられる。
 だが、いささか違和感を抱かずにはいられない。
 たしかに彼女は多くの小説やエッセー、講演、対談などで私たちを楽しませ、感動させた。だが彼女は、憲法改悪に反対し原発に反対し、死刑に反対し続けた人でもあった。
 多くの人が寂聴の死を嘆き悲しんでいるという事実と、世論調査で死刑制度について「やむを得ない」と回答する人の割合が八割であるという事実がうまくかみ合わない。先の総選挙で、加憲も含め改憲を主張する政党(自公+維新)の議席数が三分の二を超えたという事実ともかみ合わない。寂聴の追悼はするけれども、憲法や原発や死刑については別の話ということなのか。釈然としない。
 もうひとつ。寂聴は世間からバッシングを浴びる人びとをかばい、はげまし、かくまった。まさに罪は憎んでも人は憎まない寛容の人だった。人は誰でも間違えるのだから、と。死に涙する人びとは、彼女の何を見てい...

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