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<ユースク>「次は〜金山〜」発音の謎 JR・地下鉄と名鉄なぜ違う?

2021年12月6日 16時00分 (12月6日 16時00分更新)
 「自動音声での金山駅の読み方がJR東海、地下鉄と名鉄で違います。なぜか気になります」。各鉄道事業者の計5路線が乗り入れ、東海地方の多くの利用客に親しまれる金山駅。同駅を巡る疑問が、電車で通学する愛知県日進市の男子大学生からユースク取材班に寄せられました。調べていくと、地名の読み方の奥深い世界に入り込むことになりました。(石井宏樹)

 愛知県岡崎市出身の記者は、子どもの頃から金山駅を通っているが、投稿を見るまで気にしていなかった。実際に乗ってみて、駅や車内で流れる自動音声をじっくりと聞いてみた。
 JR東海と名古屋市営地下鉄は「かなやま」と後ろの三文字を高めに発音。一般的な「広島」の読み方に近い。一方、名鉄は「かなやま」と「な」だけを高めに発音し、「岡山」の読み方に近い。投稿を寄せてくれた大学生は「名鉄の方に違和感がある」と話し、記者も同じ感想を持った。
 そこで、それぞれに駅名の読み方のルールを尋ねた。JR東海は「明確な規定はなく、分かりやすく聞き取りやすい音声アナウンスに努めている」という。地下鉄を運行する名古屋市交通局は「当たり障りのない聞きやすい発音が原則。特段のルールはない」との回答だった。

上からJR東海、名古屋市営地下鉄、名鉄の各社の電車

 では名鉄はどうか。金山駅の読み方に尋ねたところ、広報担当者は「社内で調べたが、なぜ現在の読み方になっているのか分からない。読み方のルールはなく、結果として現在のようになっている」と説明した。
 同じ駅名の発音が鉄道事業者によって違うが、理由は分からない−。調査は頓挫したように思えた。そこで取材班は、東海地方の方言を研究する岐阜大の山田敏弘教授(日本語学)に救いの手を求めた。過去に「金山」の読み方について調査したことがあるという。
 山田教授によると、金山は古くは周辺の地元住民から「名鉄式」で呼ばれていた。しかし、次第に、より楽に発音ができる「JR・地下鉄式」に変化し、現在は後者が一般的になっていると考えられるという。
 十年前の大学生への調査では、名古屋市内に住む学生はJR・地下鉄式で発音していた。ところが、岐阜県や愛知県三河地方在住の学生の一部は「名鉄式」だった。教授は「都市部の発音が時間をかけて周辺部に広がっていくという方言の特徴が、金山の読み方でも表れている」と説明する。
 鉄道会社の公式見解ではないものの、JR・地下鉄は「現代型」、名鉄は「伝統型」の読み方を採用している、と考えることができそうだ。山田教授はこう締めくくった。「(各鉄道事業者の)自動音声の違いは、現在も言葉が変化し続けていることを示している。なかなか奥深いでしょ」
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