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【石川】亡き父の理髪店再建 トレーラーハウスで母と二人三脚

2021年11月26日 05時00分 (11月26日 10時02分更新)

12月4日に開店するトレーラーハウスで出来た「平田理髪店」=金沢市直江東1で

金沢の28歳 4日開店

 亡き父が好きだったトレーラーハウスで理容室を−。6年前に急逝した平田勇裕(ゆうひろ)さん=享年48=の遺志を継ごうと、一人息子の一馬さん(28)が来月4日、金沢市直江東1に「平田理髪店」をオープンする。母・岡島ゆう子さんも協力し、二人三脚で再出発する。1人1室ずつの完全個室制とし「『わが家』に帰ってきたように気兼ねなく過ごせる店」を目指していく。 (高岡涼子)
 勇裕さんの理容室は同市鳴和二にあり、二〇〇七年の開業以降、地域の人に親しまれていた。勇裕さんの陽気な性格もあって常連客も多かったが、一五年夏、接客中にくも膜下出血で倒れ、帰らぬ人となった。
 「お客さま第一の人だから、倒れてすぐは何とか店に帰してくれって言っていたのに、急に容体が悪くなってしまって」とゆう子さん。親子三人並んで店に立てるようにと施術用のいすは三つあったが、かなわぬ夢となった。

開店準備が整った店内で父勇裕さんの遺影を持つ平田一馬さん。左は母岡島ゆう子さん=金沢市直江東1で

 父の店を継ぐため、一馬さんは理容師の専門学校を卒業して関西の店で修業中だった。一人前になるには六年は必要とされるが「当時はまだ二年目。これから親孝行をしたいって時に何もできず、自分の無力さが悔しかった」。
 美容師の資格を持つゆう子さんがいったん店を継いだものの、男性客が中心のため、顔そりができないことがネックに。「お父さんをしのんで来てくれたお客さんにも中途半端で申し訳なくって」。一年後に店を閉じた。
 ゆう子さんは「絶対に店を立て直す」と一念発起。通信教育で勉強して昨年、理容師の免許を取得した。勇裕さんが亡くなったのを機に故郷に戻った一馬さんも他店で腕を磨きつつ、出店の準備を進めてきた。
 新しい店は「いつかトレーラーハウスを買って家族で出掛けたい」と語っていた勇裕さんの思いを反映した。「安心して過ごせる空間に」との配慮から完全個室制とし、壁や床は木目調に統一して「隠れ家」のような雰囲気にした。
 「髪も顔も整えられるのが理容室の良さ。だれもが元気になれる父の店のようにしたい。一人一室なので、コロナ禍でなるべく接触を避けたいというニーズにもマッチしている」と一馬さん。あこがれてきた父の背中を追い掛け、母子肩を並べて新たな夢に向かう。

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