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私立大の半数が定員割れ 他でできない学びに活路、独自で授業料免除も

2021年11月24日 05時00分 (11月24日 05時00分更新)
キャンパス内の広場でドローンを操縦する学生=岐阜女子大で

キャンパス内の広場でドローンを操縦する学生=岐阜女子大で

 今年の春に入学者が定員割れした四年制の私立大は46・4%と、ほぼ半数に上った。特に地方私立大の定員充足率は深刻だ。時代に合わせた改革を迫られる各大学は、地方の立地を生かした授業を展開したり、学部・学科の新設や、大学特有の奨学金など独自色を打ち出したりして、学生確保に苦心している。 (北村希)
 岐阜市の山間地にある、学生数九百人の岐阜女子大。十月中旬、キャンパス奥に広がる約四千平方メートルの屋外広場で、一年生が順番にドローンを操縦していた。前後左右、上下と動かし、手元のモニターに映った撮影映像を見て「テレビ番組みたい」と喜んだ。

■ドローン資格取得

 ドローンの授業は二〇一九年度、学部を問わず一年生全員の必修科目として始まり、全国でも珍しい取り組みだ。住居学専攻の学生は土地の測量、学校教育専修では地理や郷土学習の教材作り、観光・英語専修は観光地の空撮など、さまざまな分野で活用が期待されているためだ。特に、デジタル技術を使って文化資料などの保存方法を学ぶデジタルアーカイブ専攻は、城郭などの大規模建造物や、地形の記録にドローン撮影が欠かせない。
 ドローンは人口集中地区で飛ばす場合、国土交通大臣の許可が必要だが、岐阜女子大周辺は許可なく自由に飛ばすことができる。こうした立地の利点も生かした。さらに希望者は集中講義を受けると、民間の認定資格を一般よりも安価に取れ、卒業単位にもなる。昨年度は七人が取得した。
 この資格を強みに建設業への就職が内定したデジタルアーカイブ専攻四年の川合杏奈さんは、入社後、舗装計画のためのドローン撮影に携わる予定だ。図書館司書を目指す同専攻一年の古寺麻美さんは「今後役立ちそうなドローンの資格も取れるのでこの大学を選んだ」と話していた。
 デジタルアーカイブを専攻する入学者はここ五年で倍に増え、本年度は三十六人。ただ五月一日現在、大学一〜四年生の収容定員充足率は69%にとどまる。学長補佐の谷里佐教授は「他と同じことをやると今の時代厳しい。ここでしか学べない取り組みを増やしたい」と話す。

■三重県初の救急科

 二二年四月に学部などを新設する私立大もある。
 名古屋商科大(愛知県日進市)は全国初となる「経営管理課程」を設置する。起業や企業経営を目指す学生は、既存の経営学部、経済学部、商学部の枠を超えた横断的な学び方ができる。鈴鹿医療科学大(三重県鈴鹿市)は、救急救命士の活動の場が病院内に拡大する動きを受け、県内初の救急救命学科を新設する。
 大学独自の奨学金制度も。東海学院大(岐阜県各務原市)は、経済的理由で進学が困難な家庭に対し、入学金と授業料の半額か全額を免除。福井工業大(福井市)は、きょうだいが在籍していれば学費の半額を免除する。

「国公立大と学費差是正を」 人口減、地方ほど厳しく

 全大学の七割以上を占める私立大。日本私立学校振興・共済事業団の調査では、今春定員割れした四年制私立大は46・4%に当たる二百七十七校だった。
 地域別の入学時の定員充足率は、東京、愛知、大阪、福岡など都市部では100%を超えたが、愛知を除く東海(岐阜・三重・静岡)、甲信越(長野・新潟・山梨)、北陸(福井・石川・富山)などでは97〜98%台に落ち込んでいる。
 大学が個々に公表している収容定員充足率を見ると、110%を超えるほど学生が集まる人気校もあれば、50%台のところも。今後十八歳人口の減少は避けて通れず、大学経営は厳しさを増していく。
 文部科学省は二〇一八年、経営困難な私立大には指導し、改善しない場合は撤退を含めた対策を促すと決定。一九年には統合再編を後押しする狙いで、私立大同士が簡略な手続きで学部の譲渡ができる制度を設けた。
 日本私立大学協会の小出秀文事務局長は「多様な特色を持つ私立大の役割が大きくなっている一方で、国公立と私立とで学費の差が大きすぎる。格差を是正する国策があってしかるべきだ」と対応を求めている。

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