本文へ移動

【北の富士コラム】逸ノ城が貴景勝のまげをつかんだ時点で反則負けにすべきではなかったのか

2021年11月22日 05時00分

このエントリーをはてなブックマークに追加
貴景勝(手前)のまげをつかむ逸ノ城。反則負けとなる

貴景勝(手前)のまげをつかむ逸ノ城。反則負けとなる

 たった今ホテルに帰って来て、原稿用紙を目の前に置いています。そして気を静めているところです。
 貴景勝と逸ノ城戦の興奮が、なかなか収まりません。決して相撲内容に興奮しているわけではありません。物言いが付くほどの熱戦でした。逸ノ城が貴景勝の押しを重い腰でよく残し、得意の右を差して持久戦に持ち込みました。
 この場合、頭を下げている方がつらいものです。逸ノ城は何とか左上手を引きたくて貴景勝の頭を押さえようとする。その時に逸ノ城の左手が、相手のまげを思わず握ってしまった。
 おそらく、ここで逸ノ城はそのことに気が付いて離しました。まげをつかんでいたのは、ほんの数秒もかかっていなかったと思われます。その時は、審判員は何の反応も見せていません。逸ノ城は、長引いては面倒とばかり積極的に攻めました。
 相撲が長引いて疲労困憊(こんぱい)の貴景勝は、左に回り込み突き落としで逆転を図ったが、体はすでになく逸ノ城に軍配が上がった。良い相撲内容だったので、両力士に拍手を送ろうとした時、突然の物言いが付いたのです。
 私は、逸ノ城に勇み足でもあったのかとモニターのテレビを見直しました。足は大丈夫、出ていない。何の物言いかと審判長の説明を聞いて、私は思わず絶句してしまった。逸ノ城がまげをつかんだのが負けの理由とのこと。確かにまげをつかむのは反則である。故意である、なしにかかわらず握った時点で反則が成立する。そのくらいは私も知っている。
 それなら、逸ノ城がまげをつかんだ時点で勝負を止めて反則負けを決定すべきではないか。まげを握って逸ノ城が攻勢に出るまでは結構な時間があったのに、最後まで取らせてから反則があったからとは、あまりにも間の抜けた判定と説明である。
 つかんだ時に相撲を止められ、負けを告げられたとしても、逸ノ城は納得できたろう。第一、お客さんもまるでキツネにつままれたような思いがしたのではないだろうか。人間だから間違いはよくあることだが、本日の審判部の判断はあまりにもお粗末すぎる。
 どうも今場所に限らず、最近の審判部は昔の審判部に比べても見劣りを感じてしまう。昔は審判部に任命されるとうれしかったものだが、近ごろは審判部は長く座っているのが大変ということで、辞退する親方も少なくないと聞く。私の頃は「花の審判部」と言われたものだが、情けない時代になったものだ。
 8日目も照ノ富士の強さだけが光った一日であった。貴景勝はもしこの記事を見ることがあっても、君を責めているのではない。君はよく頑張った。そして全勝を守ったのだから胸を張っていい。逸ノ城はやけ酒でも飲むがいい。
 私はなじみの屋台「紀文」に行こうかと思ったが、雨が降ったので止めておこう。「紀文」は何でもうまいが、特にステーキが絶妙にうまい。牛肉の「サガリ」にたっぷりとニンニクを効かして、年季の入ったフライパンで一気に焼き上げる。それに生じょうゆをかけて食う。何万円もする高級ステーキ屋より、はるかにうまい。想像するだけでよだれが出てきた。
 そういえば、九州に来てから一度も肉は食べていなかった。吉塚のうなぎ、柳川のせいろ蒸し、呼子のイカ刺し、そして鉄鍋のギョーザ。まだ食っていないものがたくさんある。もう1週間しか時間がない。こうはしていられない。ではどこかに行ってきます。
(元横綱)
おすすめ情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ