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焼津カツオ窃盗 船会社に「解決金」提示

2021年11月20日 05時00分 (11月20日 05時02分更新)
今年9月、焼津漁協が船会社に提示した文書。冷凍カツオを巡る不適切な行為の「解決金」1000万円の支払いを提案している

今年9月、焼津漁協が船会社に提示した文書。冷凍カツオを巡る不適切な行為の「解決金」1000万円の支払いを提案している

 焼津港でカツオを盗んだとして焼津漁協職員らが逮捕・起訴された事件に関連し、漁協が事件発覚前の九月末、カツオの抜き取り行為を把握し、被害に遭った複数の船会社に「解決金」を提示していたことが、本紙が入手した漁協の文書などで分かった。漁協は職員逮捕を受け、解決金の提案を撤回し、船会社には支払われていない。

◆漁協、職員逮捕で撤回

 文書は「冷凍カツオの盗難事件の発生、並びに、当組合による不適切行為に関するお知らせ」。焼津漁協が九月二十二日付で、焼津港で水揚げする船会社各社に送付した。
 文書によると、漁協は今年三月、市場内の冷凍カツオ荷さばき所に設置した防犯カメラで、六件の抜き取り行為を確認。うち四件を漁協職員が関与した「不適切行為」とし、「反省と謝罪」の姿勢を示すため、漁協から一千万円を拠出し、被害に遭った船会社の過去三年間の水揚げ金額に応じて「解決金」として分配すると提案していた。
 他の二件は「盗難」と認定し、漁協と被害会社から被害届を焼津署に提出したとしている。うち一件については、県警が十月に強制捜査に乗り出し、漁協職員ら計七人を窃盗容疑で逮捕した。静岡地検は窃盗罪でうち五人を起訴した。
 通常、水揚げされた冷凍カツオは、水産加工会社などに競り落とされた後、コンテナに入れて運送会社のトラックに積み込まれ、トラックごと計量所で重さを量り、冷凍倉庫などに運搬する。だが文書によると、防犯カメラには、抜き取った冷凍カツオを載せたトラックが計量所を介さず、走り去る様子が写っていた。
 漁協の顧問弁護士によると、不適切行為とした四件は、水産加工会社が競り落とした冷凍カツオの一部に鮮度の悪いものがあり、漁協が補填(ほてん)のため、買い手に届く前のカツオから鮮度の良いものを抜き取ったことだという。「盗難」とまでは言えないものの、船会社に無断で行ったことが「不適切」だとしている。
 顧問弁護士は取材に対し「解決金の提案は、漁協職員の逮捕を受けて撤回した」と話している。
 文書を受け取った静岡県内の船会社は、本紙の取材に「事実上の窃盗行為だ」と憤りをあらわにし、被害届の提出を検討している。
 関係者によると、県外にある別の船会社は、年内にも漁協職員らを刑事告訴する方針という。

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