不調の隠岐の海が正代に快勝…番狂わせに思わず飛び上がってしまった【北の富士コラム】
2021年11月19日 05時00分
テレビ観戦しているが、正代と隠岐の海の相撲で番狂わせが起きた。今場所不調の隠岐の海が、まさか正代に勝てるとは思っていなかったので、思わず飛び上がってしまうほど驚いた。解説の芝田山親方(元横綱大乃国)が隠岐の海は左四つになると強いので、油断はできないと述べていたが、まさにその通りになってしまった。
隠岐の海は鋭い立ち合いで右上手を引き、左も差して得意の左四つに組み止めた。これは願ってもない体勢である。右四つの正代は左四つで胸を合わせても攻撃力はそれほどのものがない。隠岐の海は勝機とばかり一気に寄って出ると、正代は何もできないまま土俵を割った。
正代はこれで早くも2敗目。序盤を終えたばかりだが、悲願の優勝は遠くになりにけりである。やはり正代と御嶽海は信用ができない。特に正代はこれからも軽々しく優勝の2文字を口に出してはいけない。忘れていたが、殊勲の隠岐の海を少し褒めなければいけない。
私は、隠岐の海にこれほどの相撲が取れるとは思っていなかっただけに驚きは隠せない。恐れ入りました。あと2年や3年は十分に取れるかもしれない。そして幕下三枚目の北の若を強くしてもらたい。
少し御嶽海の話が出たが、5日目は若隆景にうまく取られてしまった。敗因は若隆景に左前みつを許したのが痛かった。おそらく左はおっつけてくると思ったのではないか。若隆景は左四つのおっつけが売り物だが私はかねがね、おっつけだけでは大きな相手を攻めきれないので、左は相手によっては前みつを引いた方が芸が多くなると思っている。
これは以前から言ってきたと思うが、栃ノ海関のように出し投げで崩し、前に出る時は拝んで出ることもできる。この日は私の思い通りの相撲を取ってくれたので、自分が勝ったような気分である。腰の重い御嶽海も出し投げの連発に足がついていけなかった。
御嶽海は意外に早く土が付いてしまったが、ここで連敗は絶対にしてはいけない。まだ1敗。私は、まだ少しだけ期待をしている。
照ノ富士と貴景勝は危なげなく5連勝。特に照ノ富士の安定感は見事である。不利な体勢になっても前に前に出ているのがいい。白鵬の強さとは種類が違うが、正攻法の取り口は白鵬より強みを感じている。照ノ富士は時折、長く相撲は取れないと語っているが、今の相撲ならまだまだ取れるだろう。
さて4日目は失礼しました。やはり面会はできませんでしたが、よく眠っているとのことでした。
それでは原稿を書き終えたので晩飯にしましょう。7時にルームサービスを頼んでいたので、注文していたもつ鍋が今、到着。うまそうです。本当はボージョレ・ヌーボーでも飲みたいところですが、休肝日にしましょう。
お休みなさい。(元横綱)
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