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【石川】堅豆腐 託す伝統 固い決心 白峰・山下ミツ商店 他社の子会社に

2021年11月17日 05時00分 (11月17日 09時54分更新)
自社のざる盛りとうふを手に「山下ミツのブランドをさらに成長させたい」と語る山下浩希さん。後方の写真は祖母ミツさん=石川県白山市白峰で

自社のざる盛りとうふを手に「山下ミツのブランドをさらに成長させたい」と語る山下浩希さん。後方の写真は祖母ミツさん=石川県白山市白峰で

後継者不在の中「味 守りたい」

 石川県の白山麓名物「堅豆腐(かたどうふ)」を製造する老舗豆腐店「山下ミツ商店」(白山市白峰)が10月、茨城県取手市の豆腐販売「染野屋」の完全子会社になった。後継者の不在に悩む山下浩希(ひろき)会長(60)が、伝統の味を守るために決断した。浩希さんは「染野屋さんも老舗で、価値観を共有している。互いにない物を補いたい」と話す。(吉田拓海)
 山下ミツ商店は一八八七(明治二十)年に創業し、百三十年を超える歴史がある。店名は浩希さんの祖母で二〇〇二年に九十四歳で亡くなったミツさんが由来。食品添加物を使った豆腐が全国的に主流な中にあって、国産大豆や天然にがりなど、天然の素材にこだわった昔ながらの貴重な豆腐作りを続けてきた。現在は従業員十五人が働く。
 浩希さんは十年ほど前に豆腐の移動販売を始め、豆腐を使ったお菓子の開発など堅豆腐だけにこだわらない商品展開を続けた。金沢市のスーパーでも豆腐が販売されて知名度も向上したが、自身の還暦が目前に迫り、看板を継ぐ後継者について悩むようになった。
 かつては、他社による事業継承にネガティブな印象があったが、金沢市の知人経営者の体験談を聞いて考えが変わった。昨年十一月、浩希さんが自社の子会社化を染野屋に持ち掛けた。浩希さんは「全国豆腐連合会で顔を合わせた際に信頼できると感じた。三年間悩み続けたが、六十歳になったのに合わせて決断することができた」と明かす。
 子会社化後も、浩希さんは山下ミツ商店の会長として同社に残り、染野屋の小野篤人社長(48)が山下ミツ商店社長を兼任している。
 染野屋は江戸末期の文久二(一八六二)年の創業で現在は店舗を持たず、従業員約百人が、関東や東海で豆腐を移動販売している。小野社長は「山下さんの伝統を大事にする姿勢にしびれたのが、子会社化の出発点。うちも老舗なので、伝統を守る大切さや難しさは理解している。ファンが愛した山下ミツの味を変えずに守っていく」と話す。
 浩希さんは「染野屋さんのノウハウを駆使してもらい、うちのブランドをさらに成長させてもらえれば」と期待する。染野屋は将来、山下ミツのブランド名で堅豆腐を県外でも売り出す予定。堅豆腐が全国区になる日が来るかもしれない。

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