我那覇の力 チームの変化 周囲が高み求める

2020年3月29日 02時00分 (5月27日 05時11分更新)

抜群の存在感でチームメートに刺激を与えている我那覇和樹(中央)=坂井市の丸岡スポーツランドで

 「我那覇さんみたいなフォワードは今までうちにいなかった。心強さがある」
 入団五年目になるDF橋本真人の言葉に、期待値の高さがうかがえる。我那覇和樹が加入して二カ月。日々の練習の中で、選手たちは肌で「違い」を感じている。
 足元の技術の高さに橋本はうなる。「しっかりボールを収めてくれるし、リズムをつくれる」。天皇杯や日本フットボールリーグ(JFL)昇格がかかる全国地域チャンピオンズリーグなど、技術で勝る強豪勢との戦いでは押し込まれる時間が格段に長い。DF陣は疲労が濃くなると、攻め込まれる度にロングボールを前線へと蹴った。しかし、起点をつくれずボールを奪われ、防戦一方の展開に。数々の逆転負けは、こうして生まれた。
 今季は最前線に我那覇がいる。「簡単にボールを奪われないし、相手にとって嫌な動き方もできる」と寺峰輝新監督。地域リーグ、JFL、そしてJの下位リーグに、我那覇のような技術の高いポストプレーができる選手はそういない。そんな三十九歳をセンターフォワードとして起用することを明かし「ポイントとなる試合で、長い時間プレーできるようにしたい」と描く。
 ただ、ベテランに頼り切るわけにはいかない。指揮官が願うのは、元日本代表FWの一挙一動によるチーム全体の成長だ。
 「我那覇みたいに経験を積んでいる選手がいることは大きい。選手の個性があるため、監督、コーチは攻撃の細かいところには指導に入らない。彼は選手としての感覚の部分で若いやつらに話してくれる」
 変化は既に表れた。昨季得点王に輝いたFW山田雄太は「ポジショニングや動き方など、準備の段階でフリーになれている」と感嘆し、高卒で入団したMF安川誠人は「僕が聞く前に、今のはこうした方が良い、ここにパスをちょうだいって言ってくれる」と感謝する。尊敬する選手のレベルに近づこうと、周りは必死に高みを求めている。
 あとは組織としての精度を高められるかどうか。山田は「前線のアイデア、クオリティーは上がってきている」と言った。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、予定されていた公式戦は次々と延期になったが、調整に余念はない。昨季、14試合74得点でリーグ制覇したチームは、重要なピースを得て進化を遂げようとしている。 

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