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“問題児の元選手”丸刈りで中日へ…14年前中村が真っ先に訪ねた立浪「気を使わなくていいから」頭下げ繋がった絆

2021年11月3日 09時58分

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契約を結び、就任会見する中村紀洋打撃コーチ=2日

契約を結び、就任会見する中村紀洋打撃コーチ=2日

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って 新生竜特別版(5)
 2007年2月14日。中村紀洋は神戸空港から那覇空港に降り立ち、恩納村内のホテルに着いた。オリックスとの契約交渉がこじれ、1月に退団。しかし「問題児」のレッテルを貼られたためか、どの球団も獲得に名乗りは上げなかった。キャンプも折り返しを迎えようとした頃、ようやく中日が声をかけた。
 ただし、用意したのは会見ではなく入団テスト。丸刈りで沖縄にやってきた姿に中村の覚悟を見た球団は、合格を出した。それでも年俸400万円、育成選手からの再スタートだった。つまり、あの日の肩書はあくまでも「元プロ野球選手」。いてまえ打線の中核に君臨し、唯我独尊を貫く姿を知っていただけに、チェックイン直後の行動には心底驚いた。
 「ホテルにお願いして、部屋割りをいただいてね。立浪さんの最初の言葉は、今でも覚えていますよ。『気を使わなくていいから。今まで通りにプレーしてくれたらチームのためになるから』と。あの時点ではポジション(三塁)がかぶっているわけじゃないですか。それなのに…。あの言葉で救われたんです」
 自分より年上の選手の部屋を訪ね、あいさつして回った。中でも真っ先にノックしたのが立浪の部屋だった。中村に頭を下げさせる立浪。プロ野球界は年齢で言葉を使い分けるが、本当の序列は実績で決まる。あの日、僕は立浪の格を改めて知った。
 支配下を勝ち取った中村は、日本シリーズではMVP。一方、立浪も中村の入団でレギュラーへの未練が断ち切れ、代打の奥義を究める道を突き進んだ。翌08年にFA権を行使して楽天へ移籍した中村は、14年ぶりの復帰となる。
 「立浪さんに誘われて、断る理由なんかありません。僕には感謝しかなかったんですから。いつかこういう形で恩返しをしたい。勝手にそう思っていたことが実現した。石川というのは監督から真っ先に出た名前。何としても…。ですね」
 部屋を訪ね、頭を下げた瞬間につながった絆。貧打解消、逸材覚醒が絶対の使命である。(敬称略)

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