立浪新監督以上に”全国区級”スター選手の誕生期待 いっそのこと根尾選手、二刀流どうですか?…冗談です【立川志らくのドラ放談】
2021年11月3日 06時00分
竜党を自負する著名人が独自の視点でドラゴンズ愛をつづる企画「ドラ放談」。落語家の立川志らく師匠(58)が就任したばかりの立浪和義新監督(52)に熱い期待を寄せた。その一方で監督がチームで最大のスターになっては困るとくぎを刺し、他のスポーツ紙でも1面を飾れる“全国区級”選手の出現を強く求めた。
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立浪新監督が正式に誕生した。ファンは期待しかない。打撃コーチに森野はかなり熱い! 立浪、森野、荒木で黄金期の地獄のキャンプを再現だ! でも、監督やコーチが試合をするわけではない。今はミスタードラゴンズの監督就任で盛り上がっているが、シーズンが始まったら、監督の存在が消えるくらい選手が頑張らないといけない。
今シーズン、頑張ってるなあ、とはお世辞にも思えなかった。何人かのOBが指摘していたが、今のドラゴンズの選手は負けていてもヘラヘラ笑っている、考えられない、と。まずは戦う野武士のようなチームになるよう願う。
それと、このチームはやたら打てないところばかり言われるが、投手陣も実は安泰ではない。バンテリンドームナゴヤでの成績は良いが、アウェーでの成績はそれほどでもない。いかにアウェーでも抑えられるか。
そして、私が一番懸念しているのがスター不在であるということ。ドアラしか全国区スターがいない。今回、立浪新監督になって、それに拍車をかけるのではないか。監督が最大のスター。それでは困る。中日スポーツや東京中日スポーツ以外のスポーツ紙の1面を飾るようなスター選手がいたら、このチームは強くなる。
星野仙一監督時代にロッテから落合が来た時とか、落合監督時代に浅尾がいたとか、スターがいると多くの人の注目を浴びる。それが活躍につながる。どんなに監督に注目がいっても、監督で勝てる試合はそれほど多くない。ましてやドアラじゃどうにもならない。
今年のキャンプ前に与田前監督と対談した時に、スター選手をつくってくださいと私はお願いをした。与田さんは困惑の表情を浮かべ、「逆に志らく師匠にお聞きします、どうやったらつくれますか?」と。
そりゃ三冠王になるとかトリプルスリーを達成するとか、完全試合をするとか活躍に活躍を重ねることが大切だが、魅(み)せ方一つで話題になることもある。ヒーローインタビューで必ず決めゼリフを言うとか、ホームランを打った時にカメラに向かってポーズを取るとか、バッターボックスに立つ前にバットを異常に振り回すとか、ラグビーの稲垣選手じゃないけど何があっても笑わないとか、ホームラン打つたびに号泣するとか、何でもいい。
これは師匠の談志を通じて本人から聞いた話なのだが、長嶋茂雄はポジションはサードでありながら生涯に2度セカンドゴロの当たりを取ったことがあるそうな。空振り三振の時、わざとヘルメットが飛ぶようにしていたというのはあまりに有名な話だ。どれもただのパフォーマンスなのだが、注目を浴びる。
注目を浴びると、活躍しないとみっともない。一番良くないのは注目を集めていないと、三振しようが何しようが話題にならないこと。だから、自分も傷つかない。今年のドラゴンズは誰が打てなくても、打たれてもファン以外の口の端にはあまり乗らなかった。
どうだろう、いっそのこと二刀流の選手でもつくってみたら。すぐに話題になる。で、活躍できなかったらボロクソにたたかれる。たたかれたくないから必死に頑張るだろう。日ハムの新監督・新庄ならばそんなことをやりそう。根尾選手、二刀流どうですか? 冗談です。(落語家)
○…志らく師匠は昨年9月に立浪新監督とテレビ番組で特別対談をしている。中京テレビのスポーツ情報番組「スポーツスタジアム☆魂」の企画で東京都内のホテルでドラゴンズ談議に花を咲かせた。その時は高卒で入団した根尾と石川昂の有望株2人について「ベンチに置いておく選手ではない。(スタメンで)使い続けるという選手にならないといけない」と意見を求め、次の指揮官として立浪新監督が適任であることを強く訴えていた。
▼立川志らく(たてかわ・しらく) 1963年8月16日生まれ、東京都出身の58歳。本名・新間一弘。日大芸術学部在学中の85年10月に落語立川流家元の立川談志に入門。88年に二つ目となり、95年に真打ち昇進。映画に造詣が深く、「シネマ落語」で注目を集める。98年の「異常暮色」で映画監督デビュー。2003年に劇団下町ダニーローズを結成した。TBSテレビ系の情報番組「ひるおび!」でコメンテーターを務める。
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