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「さまざまに事実でないこと報道されています。ご留意ください」JLPGA『放映権問題』ツアー水面下は穏やかでなく【ゴルフ】

2021年11月2日 19時16分

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小林浩美JLPGA会長

小林浩美JLPGA会長

 人気者・渋野日向子(22)=サントリー=の復活などで大いに盛り上がりを見せる国内女子ゴルフツアー終盤戦。しかし、ツアー会場内外の選手、関係者たちの間にはどこか微妙な空気が漂っている。話題となっているのは日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の“全面勝利“で決着した「放映権問題」。再来年(2023年)以降のツアーや選手と企業の雇用、契約事情などに負の影響が出ないかと不安の声も上がっているのが現状だ。
 10月27日、小林浩美会長名でJLPGA会員宛てに文書が配布された。「日本の女子プロゴルフ界にとって、とても喜ばしいご報告」として「お話し合いを4年間続けてきた結果、JLPGAツアー公認競技のすべての大会主催者様との間で、放映権を当協会に帰属させることについて合意」という内容のものだ。誠にめでたいお知らせ、と受け止めたいところだが、ツアー水面下はおだやかではない。
 4年前の17年、JLPGA財政事情の先細りを憂いた小林会長が、大なたを振るう決意表明。同協会は1968年の創立以来トーナメントの「公認料」のみを大会収入として進んできた。前任の樋口久子会長下では社会情勢悪化(バブル崩壊など)時期もあり、1大会200万円だった同料金を値上げせず長年据え置きとなっていたものを、小林会長下で短期間に500万円、750万円へと増額した。が、この仕組みではどんなにツアーが活況を呈してもすでに年間試合数は限界に達しているため、同協会のもうけは上がらない。そこで着目したのが「放映権の所有(JLPGAは帰属と表現)」だった。
 国内プロゴルフ界は、トーナメント自体が始まった黎明(れいめい)期に大会を主催してくれたのはテレビ局ばかり。そのせいで放映権そのものが存在しない状態で進んできた。2018年1月から同3月、5月とLPGAは全トーナメント主催者とのミーティングを3度開催。しかし、同会長が出席しないこともあり、また主催者側が個別に提案した話し合いの場にも「会長はどこにも現れず、代理の事務局員が説明に。議論はすべて持ち帰りとなり、最後は担当者が泣いて帰る始末だった」(複数大会の関係者談)という。
 「トーナメントは継続したいが、徹底的な議論も行わずに承諾するのは無理」だと、18年以降は放映権に関する事項はペンディングとする「条件付きで申し込み」を行う主催者が半数近かった。
 今年も9月末に締め切られた開催協約書には、17のスポンサーが同様の条件を付けて提出。しかし昨年までとは違い、10月4日付けで「条件の取り下げ書&新たな協約書の提出」を求める小林会長からの文書が届けられる。そこには「提出されない場合、11月1日より(大会開催予定週の)新規募集を行う」とも書き添えられていた。
 申込期限とされた10月25日までに全スポンサー、放送局が折れて新協約書を提出した。ちなみにJLPGAは22年ツアーについては放映権料無料としており、23年以降の金額提示などはまだ行っていないという。
 小林会長の打ち出してきた放映権についての見直し、方向性についてはスポンサーや運営サイドを含む関係者のほとんどが理解を示している。だが、その進め方には納得できない、との声が多い。「0を100にする要請にもかかわらず、丁寧な説明すらない」「億単位のお金の話。段階的に行うなど、普通ならプロジェクトチームでも発足させて時間をかけて話し合い、説得を行うべき問題のはず」(関係者の話)と。
 この案件についてJLPGAとしての考え方などを他に説明できる者が会長以外いなかったことも事態をこじらせてきた。JLPGA副会長以下、会長以外の理事6人ですら情報共有してこなかったのだ。JLPGA会員への説明も不十分なままここまで来たと言っていいだろう。小林会長は「各スポンサー相手の守秘義務がありますので、当件は担当事務局員1名だけが共有しています」と話してきた。
 10月27日付でJLPGA会員に配布された文書には「これまで多大なご心配とご不安をおかけしましたこと、心からおわび申し上げます。詳しい状況は、守秘義務案件のため開示することはできかねますが、各種報道等によっては、さまざまに事実でないことが報道されています。くれぐれもご留意ください」と記されている。
 4年間という時間はかけてきたが、JLPGA、トーナメント主催者双方の歩み寄りがなかったのは、小林会長本人が個別交渉のテーブルに就くことなく、十分な議論を交わさないままの4年間だったからと言えるだろう。打ち出している方向性に同意できても「なし崩し的なやり方」「横暴」と言われしまうのはそこに原因がありそうである。
 放映権料が発生するだろう再来年(23年)にはトーナメントが激減するのでは? と心配する声がある。渋野日向子らスター選手たちの海外流出も増えるだろうこと、さらにこの大改革を受け入れた後の各スポンサー、放送局の収支がどうなるのか、社会情勢も関わってくるだろう。情を断ち切り、ドライに押し進めたビジネスだけに、ネット放送の方の収益や継続の問題も未知だ。
 仮に地上波放送が減ることになれば、トーナメント出場選手達の契約事情にも陰りが生じる可能性は大。マネジメント会社も気が気でない。もちろん逆に、ツアーが現在以上に人気を博し、有料ネット放送の視聴者が激増、JLPGAは笑いが止まらないという将来もありうるだろう。
 問題勃発から今までは本音を語ることがないように見える小林浩美会長。来年末にはまた理事選挙が行われ、政権継続となるのかどうかも不明だが、再来年以降のビジョンは楽観的なものなのだろうか。

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