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杜の都で下克上、五十嵐利治監督率いる拓大女子長距離部の躍進 老記者が送った無言のエール【満薗文博コラム】

2021年11月1日 13時11分

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五十嵐利治監督と小出義雄さん=2012年

五十嵐利治監督と小出義雄さん=2012年

 ちょっと「意地悪」した。だが、結果として、美しい「化学反応」を見られて、老記者は格別の喜びに浸った。
 10月31日、杜(もり)の都・仙台で行われた全日本大学女子駅伝対校選手権で、ダークホース拓殖大が3位の表彰台に上った。男子の活躍には歴史があるが、女子長距離部は2016年に、たった1人の部員から創部して6年目である。率いるのは五十嵐利治監督(40)。かつて亜細亜大学時代に箱根駅伝を走り、後に、小出義雄監督の下、ユニバーサルエンターテインメントでコーチ業を積んだ人だ。
 さて、ここから、私の「意地悪」話。10月27日の東京新聞(中日新聞)の夕刊コラムに「待ち遠しい冬の風物詩」を書き、これをコピーして五十嵐監督にLINEで送った。30分ほどして返ってきた短い文面には「私もシード権取るので記事書いてください」とだけあった。
 件(くだん)の夕刊コラムに私が書いたのは、同月24日に福岡で行われた全日本実業団女子のプリンセス駅伝(11月28日に仙台を中心に行われるクイーンズ駅伝の予選会)だった。ここには、創部3年目でプリンセス出場を射止めた広島のダイソーを中心に据え、そのダイソーでコーチを務める堀弘樹君(32)について触れた。五十嵐監督にしてみれば、かつて、ユニバーサルで小出さんの下、コーチとして同じ水を飲んだ後輩である。
 そして、原稿の締めに使ったフレーズは、そのクイーンズ駅伝に向けてのエール。「小出さんの下でコーチだった高橋昌彦監督率いる日本郵政グループは、前回大会に続く優勝を狙う。同じくコーチだった深山文夫監督率いるユニバーサルエンターテインメントの参戦も決まった。11月、仙台で味わう風物詩が待ち遠しい」。そこに、大学駅伝の大一番を控えた「小出一門の卒業生」拓大・五十嵐の名前は無かった。
 これが、私の言う「意地悪」である。いわゆる、鼻っ柱が強いと言われる江戸っ子の五十嵐君に向けた「無言のエール」だった。わざわざ、彼の名前のない記事を送り付けたのである。それに対して帰って来たのが短い返信だった。
 果たして…。エース区間の最長5区(9・2キロ)で、スーパールーキー不破聖衣来(せいら)=健大高崎=が圧巻の走りで9位から3位に順位を上げ、最終6区でもこれをキープして逃げ切った。見事な下克上だった。拓大は4年連続出場だったが、22位―20位―9位ときて、一気の上位入賞へとジャンプアップである。
 一から耕し、種をまき、花が咲き始めた。「意地悪してゴメン」。拓大・五十嵐利治監督に乾杯である。(スポーツジャーナリスト)

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