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巨人のユニホーム姿見せられない…18年秋に立浪氏が断った原氏からのコーチ就任要請 僕の頭よぎる甲子園での抱擁

2021年10月31日 10時21分

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中日ドラゴンズの監督就任が決まり、記者会見する立浪和義さん=29日

中日ドラゴンズの監督就任が決まり、記者会見する立浪和義さん=29日

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って 新生竜特別版(2)
 東京での解説者生活を、夫人の助言で思いとどまって5年。現役引退からは9年もたつというのに、なお立浪の浪人生活は続いていた。
 「もう(中日からの要請は)ないかもしれないな…」。そう思いかけていた2018年秋、予期せぬ人物から連絡があった。巨人の監督に復帰が決まった原辰徳である。コーチの就任要請だった。指導者としてグラウンドに立つ夢がかなうのは、あるいはこれが最後かもしれない。しかし、中日にとって巨人は永遠の宿敵。そのユニホームに袖を通すことが、自分にできるのか…。立浪の心が波を打っていたのは間違いない。
 なぜ原から誘われたのか。僕は推論をぶつけたことがある。「星野さんから受けた恩を、どこかで返そうとしているのではないか」と。この入閣要請から15年前。03年10月7日の名シーンを記憶しているファンも多いことだろう。退任が決まっていた原に、阪神は甲子園での試合だったにもかかわらず、セレモニーを用意した。星野仙一監督自ら花束を渡し、原を抱擁した。
 「くじけるな。もう一度、勉強して戻ってこい」。こう言葉をかけた。なぜか。退任とはされたが実質的な解任。しかも、オーナーの渡辺恒雄は「読売グループ内の人事異動」だと言った。野球人としてのプライドを切り裂かれた原を、おもんぱかった言葉だったのだ。原はくじけず、名将への階段を駆け上った。
 入閣要請があった8カ月前、星野は亡くなった。星野に受けた恩を、原が忘れるはずがない。だから教え子の立浪に救いの手を差し伸べようとしたのではないか…。僕の推論を黙って聞いた立浪は、静かに笑った。
 「原さんには気に掛けていただいた。一度はやってみたい。そう思ったのは間違いありません」
 迷った末に丁重に断った。巨人のユニホーム姿を、中日ファンの前に見せることはできなかったのだ。12年を耐え抜いて、大願を成就した。そして来季は原巨人と戦い、倒すことが使命となる。(敬称略)

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