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デルタ株、修復能力低下 三島の国立遺伝学研など

2021年10月31日 05時00分 (10月31日 05時01分更新)
 新型コロナウイルスの流行「第5波」の収束には、流行を引き起こしたデルタ株でゲノム(全遺伝情報)の変異を修復する酵素が変化し、働きが落ちたことが影響した可能性があるとの研究結果を国立遺伝学研究所(三島市)と新潟大のチームが30日までにまとめた。
 8月下旬のピーク前にはほとんどのウイルスが酵素の変化したタイプに置き換わっていた。このウイルスではゲノム全体に変異が蓄積しており、同研究所の井ノ上逸朗教授は「修復が追いつかず死滅していったのではないか」と指摘する。
 研究は10月に開かれた日本人類遺伝学会で発表した。
 この酵素は「nsp14」。ウイルスは増殖する際にゲノムを複製するが時々ミスが起きて変異が生じる。変異が積み重なるとやがて増殖できなくなるが、nsp14が修復すれば防げる。
 チームは、国立感染症研究所が公開する国内で検出した新型コロナのゲノムデータを分析。第5波では、nsp14に関わる遺伝子が変化したウイルスの割合が感染拡大とともに増え、ピークの前から収束までの間は、感染者のほぼ全てを占めていた。昨秋から今年3月ごろまでの「第3波」でも同様の傾向が確認できた。
 nsp14の遺伝子が変化したウイルスでは、ゲノムの変異が通常の10〜20倍あった。チームは、人間の体内でウイルスに変異を起こして壊す「APOBEC」という酵素がnsp14を変化させたと推測。東アジアやオセアニアではこの酵素の働きが特に活発な人が多いという。

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