本文へ移動

寿都町長選 無関心ではいられない

2021年10月28日 05時00分 (10月28日 05時01分更新)
 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた調査が進む北海道寿都(すっつ)町長選は、受け入れを主導した現職が、反対派の元町議を僅差で破った。だが、過疎地にツケを回して済む話ではない。国民的議論を続けることが必要だ。
 高レベル放射性廃棄物とは、原発で使用済みの核燃料を再利用した後の廃液をガラス状に固めたものだ。毒性が極めて強く、無害化までには、十万年にわたる厳重な管理が必要とされている。
 地下三百メートル以上の安定した地層に埋設するという処分方法は法律で決まっており、原発を持つ電力会社などで組織した原子力発電環境整備機構(NUMO)が、受け入れ先の公募を続けている。寿都町は昨年十月、候補地選定のための文献調査に全国で初めて正式に名乗りを上げた。
 東京を拠点に既存の研究論文や地質データを二年ほどかけて調べる調査の第一段階だが、受け入れ候補地にはその間、第二段階の概要調査に進むか否かにかかわらず、国から最大二十億円の交付金が支払われることになっている。
 安全安心か交付金かで、地域が二分−。原発や原子力関連施設の立地計画が出るたびに繰り返されてきた構図である。しかしそもそも、核のごみの最終処分は、国の原子力政策の根幹にかかわる問題だ。当初からごみ問題を棚上げにしたままで、原発を増やし続けた国の責任は重い。
 「今回の勝利で文献調査に理解を得たとは思っていない」と、当選した現職も結果を厳しく受け止める。現に原発のごみがたまっている以上、処分場が必要なのは間違いない。しかし、法外な交付金と引き換えに、財政難の自治体に押しつけるようなやり方が正当化されるはずもない。
 地層処分の前提となる核燃料サイクルは破綻した。国は温暖化対策を口実に原発再稼働に前のめりだが、原発を使い続ければ、核のごみは増え続ける。まずは脱原発の道筋を示し、ごみが増えないようにするのが筋だ。その上で既に発生したごみの処理に集中する。そうでなければ国民的理解は得られず、議論が深まるはずもない。

関連キーワード

おすすめ情報