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【石川】志賀ころ柿「被害最大」 霜と病気、出荷5〜7割減か

2021年10月23日 05時00分 (10月23日 10時17分更新)
霜の影響で実がほぼつかなかった柿の木の畑=22日、石川県志賀町西山で(大野沙羅撮影)

霜の影響で実がほぼつかなかった柿の木の畑=22日、石川県志賀町西山で(大野沙羅撮影)

  • 霜の影響で実がほぼつかなかった柿の木の畑=22日、石川県志賀町西山で(大野沙羅撮影)
  • 霜被害をまぬがれた実にも黒色の病斑がつき、ころ柿に加工するのが難しくなる=22日、石川県志賀町西山で(大野沙羅撮影)
 まもなく生産シーズンを迎える石川県志賀町特産の干し柿「能登志賀ころ柿」に加工する最勝柿(さいしょうがき)などが霜や黒い斑点が出る病気「炭疽(たんそ)病」の影響で凶作となり、ころ柿の出荷量が例年の半分以下と見込まれている。関係者は「過去最大の被害」と衝撃を受けている。(大野沙羅)
 JA志賀などによると、今年は三月の気温が高く、例年に比べ生育が早かった。花芽が付いた四月に三日間ほど、町にひどい霜が降り、大半の生産者が凍霜被害を受け実がほとんどつかなかった。柿は前年に伸びた枝の先端に花芽がつき、花芽から伸びた枝に花が咲いて実が付く。平地や盆地は深刻な被害で、JA志賀ころ柿部会の新明侃二(しんめいかんじ)部会長(77)は「これまでで最大の霜被害。ほぼ全員やられている」と語る。
 霜被害を防ぐための送風機「防霜(ぼうそう)ファン」が被害を大きくしたと考えられている。地上五〜六メートルの暖気を畑に送り霜が付かないようにするが、霜がひどすぎたため冷気が送り込まれ、逆効果になったとみられる。
 夏には、暑さや雨などの高温多湿により、カビが原因で発生する炭疽病も拡大。葉に斑点が出たり、実が円形に黒くくぼんだりして早熟し、腐りやすくなる。病気になって落ちた実の菌は土壌から周辺の木に移り、広がっているという。
 新明さんが育てる柿の木百八本のうち九十本は霜被害をまぬがれたが、黒い斑点が実に現れた。炭疽病にかかると内側まで変色するため、ころ柿に加工できず廃棄することになる。「多めに消毒したつもりだったが間に合わなかった。諦めるしかない」と嘆く。
 JA志賀では昨年、組合員百二十七人が約七十一万九千個を出荷。今年は組合員の減少もあるが、出荷は平年並みだった前年比五〜七割減になると見込む。JAによると、西山、倉垣、米浜などで霜被害が深刻。出荷できる柿が一つもない生産者もいる上、柿の実が盗まれる被害もあり苦境に拍車を掛けている。
 営農部の田中智也さん(32)は「炭疽病は来年も引きずるかもしれない」と懸念。新明さんは「ゼロの人もいて胸が痛いが、今年がダメでも来年がある。めげてはいられない」と語った。 

【メモ】 能登志賀ころ柿 渋柿「最勝柿」の皮をむき、細かな温度管理の下、乾燥させて手でもみこんで作る干し柿。鮮やかなあめ色で、果肉はようかんのように濃厚でやわらかい。11〜12月が生産ピーク。2016年10月に国が伝統的製法の農林水産食品などを知的財産として保護する「地理的表示(GI)保護制度」に登録された。関東や関西の市場のほか、近年は海外にも一部出荷されている。


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