本文へ移動

環境アセス 遅れる京都 敦賀−新大阪 里山の魅力 低下を懸念 南丹市ルポ

2021年10月23日 05時03分 (10月23日 10時22分更新)

「日本の原風景」を見ようと観光客が訪れる美山かやぶきの里=京都府南丹市美山町北で


 北陸新幹線敦賀−新大阪間は、与党などが二〇二三年度当初の着工を目指している。環境影響評価(アセスメント)が進むものの、京都府北部の一部地域で手続きに遅れが生じている。その一つ、南丹市美山町田歌(とうた)区は建設に伴い里山の魅力が低下し「集落が滅びる」と危機感を強める。ルート決定の経緯が不透明と主張し、行政訴訟も含め抗議していく意思を示す。福井など北陸とは違った「風」が吹いている。 (山本洋児)
 福井県おおい町から国道162号を車で走り京都府へ向かう。山あいの道が続いた先に、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された「美山かやぶきの里」が姿を現した。日本の原風景を見ようと、観光客が次々と押し寄せていた。
 さらに東へ十分ほどで田歌区に着く。隣の江和(えわ)区と合わせ、大まかな北陸新幹線ルートの幅四キロ内にあり、一帯は京都丹波高原国定公園に含まれる。アユの漁場で知られる一級河川「由良川」が流れ、源流には広大な天然林「芦生の森」が広がる。
 「何も恩恵がない。ここを通る必然性も説明されていない。環境アセスは合意形成に向け、計画をより良いものに導くはずが、ほかに選択肢がない状態」。前区長で、神戸大准教授の長野宇規(たかのり)さん(51)は憤る。
 田歌区では二〇一九年十二月、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が環境アセスの方法について説明会を開いた。そこで由良川の上を高架橋が渡る可能性が示された。近くの山岳地帯を直径十メートルのトンネルで通過する計画だった。
 区内には三十世帯ほどの六十人弱が住む。若い世代の大半はIターンなど移住者が占める。江和区も同じような集落。移住者は自然豊かな地域を求めやってきた。〇〇年に江和区へIターンし、林業に従事する森省吾さん(52)は「由良川はすごい川。近くに家を建て、子育てしたいと思った」。その上で「トンネル掘削で生活に使う山水がかれないかが心配だ」と漏らす。残土の仮置きで、静岡県熱海市のような土砂災害が起きないかも不安という。
 「敦賀以西 京都で環境アセス遅れ」に続く

関連キーワード

おすすめ情報