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特異な詩の世界に光 名古屋の宇佐美さん『黒部節子という詩人』刊行 

2021年10月22日 16時00分 (10月22日 16時00分更新)
闘病生活に入ったころの黒部節子さん(宇佐美孝二さん提供)

闘病生活に入ったころの黒部節子さん(宇佐美孝二さん提供)

  • 闘病生活に入ったころの黒部節子さん(宇佐美孝二さん提供)
  • 黒部節子さんの作風について語る宇佐美孝二さん
  • 黒部さんの作品集『耳薔帆O』
  • 『耳薔帆O』の本文の一部。ところどころ開けた穴から、次のページの文字が見える
 脳内出血で2度倒れ、亡くなるまでの19年間は眠り続けたまま、高い評価を得た詩人がいる。愛知県岡崎市の黒部節子さん(1932〜2004年)。今は著書が入手困難になっているが、光を当てたいと、名古屋市の詩人宇佐美孝二さん(67)が、評伝や作品論をまとめた『黒部節子という詩人』(洪水企画)を刊行した。「再評価する契機にできたら」と語る。 (松崎晃子)
 黒部さんは、四十歳のとき最初に倒れ、五十二歳のとき二度目に倒れて意識が戻らないままとなった。この十二年間に、旺盛に創作した。そして意識のない本人に代わり、親しい詩人らが詩集を二冊刊行。『まぼろし戸』(八六年)は日本詩人クラブ賞、『北向きの家』(九六年)は晩翠賞を受賞した。
 詩の中でもう一つ別の世界が展開されているような、不思議な詩が特徴だ。
 <電車でとおってゆくと 暗い空のなかに窓が/見えた(中略)食卓/から一枚の皿がひらひらと落ちて 割れた。/電車は透きとおって 限りなく静かだった。/空の皿はかすかな音もたてずに 窓と共にあ/いまいな夜へすばやくかき消された。>(「空の皿」)
 宇佐美さんは、黒部さんが病を境に自分だけの内面の世界から脱却し、...

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