本文へ移動

<大波小波> ガールズパワー

2021年10月20日 16時00分 (10月20日 16時00分更新)
 吉川トリコが今注目されている。ネット上の記事やコラムなどを対象にした「PEPジャーナリズム大賞」のオピニオン部門に選ばれた「流産あるあるすごく言いたい」を含んだエッセー集『おんなのじかん』(新潮社)については、本紙も注目とのこと。
 十年以上の事実婚を経て三十八歳で結婚した著者は、不妊治療ののち流産した。その経験を含めて、本書には生理や妊娠など、女性に対する根強い偏見やタブーへの、積年の疑問や反発がつづられている。声高に論じるのではなく、切実な実感を率直に打ち明けるすがすがしい姿勢が共感を広げているのだろう。
 「女による女のためのR−18文学賞」から出発した吉川は、ガールズ小説を書きながら徐々に成長を遂げてきた。『女優の娘』(ポプラ社)はポルノ女優の母を持つアイドルタレントが、母と自身の生き方を再発見していく物語だった。最新作の『余命一年、男をかう』(講談社)は、子宮頸(けい)がんで余命宣告を受けたアラフォー女子が、頭をピンクに染めたホストと出会う物語。外見や境遇への思い込みをはねのけ、自由な生き方書き方を選び取る思想はどんどんパワーを増している。今後も目が離せない作家だ。 (ぶっちゃ...

中日新聞読者の方は、無料の会員登録で、この記事の続きが読めます。

※中日新聞読者には、中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井の定期読者が含まれます。

関連キーワード

おすすめ情報