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<大波小波> 『源氏物語』と工学部

2021年10月18日 16時00分 (10月18日 16時00分更新)
 冲方丁(うぶかたとう)『月と日の后』(PHP研究所)は、時の最高権力者・藤原道長の娘で一条天皇の中宮になった彰子(しょうし)を主人公にしている。
 道長の命令で入内(じゅだい)した彰子は、一条天皇が愛しているのは敦康を産んだ皇后の定子であることを知る。やがて定子が崩御し、道長に敦康の母になる命令を受けた彰子は、それに逆らい、一条天皇を支えながら、「国母」という別の形で敦康を守る決意を固める。
 そのためには漢籍の教養を身につけ、政治と文化を深く理解する必要があったのだが、当時は女性が漢籍の知識を口にするのははしたないとされていた。彰子は、学識豊かな父・藤原為時に漢籍を学び、その知識で『源氏物語』を書いている紫式部を教育係に選ぶ。
 平安時代の漢籍のように、現代の日本にも女性の障壁になっている学問分野がある。それが理学、工学である。『男女共同参画白書』(令和三年版)によると女性研究者は工学で6・9%、理学で14・8%で、女性の割合が特に低い。
 こうした状況を変えるため、来年四月に国立奈良女子大学が日本の女子大学で初の工学部を新設する。漢籍を学び政治や文化に足跡を残した彰子や式部のように、ここ...

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