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【石川】会えない妻へ 愛の絵手紙 小松の竹内さんコロナ禍に43通

2021年10月18日 05時00分 (10月18日 12時40分更新)
(左から)しめじ、くり、アゲハチョウの幼虫の絵手紙

(左から)しめじ、くり、アゲハチョウの幼虫の絵手紙

  • (左から)しめじ、くり、アゲハチョウの幼虫の絵手紙
  • 妻の悦子さん(手前)とともに展示された絵手紙を見つめる竹内富夫さん(左)=石川県小松市向本折町で

特養入所 届くと笑顔に

 「支え合いしみが出ても今が一番味は完熟」。熟したバナナの絵に添えられた妻へのメッセージ。石川県小松市川辺町の竹内富夫さん(79)は、特別養護老人ホーム松寿園(同市向本折町)で暮らす妻の悦子さん(78)に、そんな絵手紙を送り続けている。コロナ禍で面会がかなわない日々が続き、絵手紙が妻と心を通わす大切な役割を果たしている。 (久我玲、写真も)
 悦子さんは昨年八月、脳梗塞で入院。今年七月に松寿園に入所して以降、感染防止のために面会禁止が続く。県内での感染が落ち着いてからもオンラインでの面会に限っていた。
 そんな折、富夫さんの元に知人から趣味で始めたという絵手紙が届いた。「これなら思いを届けられる。つながれる」。色鉛筆を手にし、でき上がった絵手紙を松寿園に郵送した。
 夏にはトマトやヒマワリ、秋になると栗、コオロギと、季節が感じられるものを題材にした。時にはセミの抜け殻やアゲハチョウの幼虫を梯川の土手で拾ってきて、じっくり観察して絵に写し取り、生ものの息づかい、季節の移ろいを伝えた。柿の実の絵とともに書き添えた言葉は「仲良く一緒に実りの秋」。富夫さんは「ばあさんに贈りたい言葉の数々を、頭の中で転がして組み合わすんだ」。絵手紙は約三カ月で計四十三通になった。
 悦子さんは車いす生活を送り、今では言葉を発することはできない。それでも、担当職員の田中大樹さん(48)が富夫さんから届いた絵手紙を手渡すと、柔らかい笑顔を浮かべるという。
 松寿園では今月十三日から予約をすれば週に一度、午後から三十分間の直接面会ができるようになった。その日、入所後初めて悦子さんと直接顔を合わせた富夫さんは、慈しむように妻の手をさすり、「元気だったか」と声を掛けていた。
 絵手紙は十三日から一階ロビーに展示されており、入所者や面会に訪れた家族らの心を和ませている。富夫さんは「家族と直接会えない人たちにも見て元気になってもらいたい」と話している。

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