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静大教授が陰謀論? 「新型コロナは嘘」学生らにメール

2021年10月18日 05時00分 (10月18日 05時03分更新)
新型コロナを巡るメールを学生らに送信した教授が所属する静岡大の静岡キャンパス=静岡市駿河区で

新型コロナを巡るメールを学生らに送信した教授が所属する静岡大の静岡キャンパス=静岡市駿河区で

 静岡大の元副学長で人文社会科学部の男性教授が「米国上院議会で新型コロナは嘘(うそ)(lie)であるとの発表がありました。よってワクチンは有害無益」などと記載したメールを学生らに送っていたことが、同大などへの取材で分かった。陰謀論のような内容で、大学側は「教育行為として妥当ではない」とメールを問題視し、男性教授を口頭注意した。
 同学部などによると、この男性教授は六月初旬、授業を受けている学生らにメールを一斉送信。米国の前大統領を引き合いに「トランプ率いるホワイト軍によって首謀者たちは逮捕されています」「日本もすぐに協力者たちの大量逮捕が始まりワクチン接種は中止になるでしょう」とも記載し「大いに拡散してください。夜明けはもうすぐです」と呼び掛けていた。
 学部長は「見解、主張は全く個人的なもの」などとして口頭で注意し、男性教授も今後は学内の情報システムや授業でワクチンの情報発信をしないことを約束した。学部長は六月下旬、経緯を同学部の学生らにメールで知らせ、不安や苦痛を感じる場合は学部に連絡するよう促した。
 本紙は男性教授に話を聞こうと、静岡大のホームページに掲載されたアドレスにメールを送ったが、返信はなかった。同大の広報室を通じて取材を依頼したが、広報担当者から「取材は受けられないとのことだった」と返答があった。
 複数の学生によると、男性教授は「コロナワクチンは人を殺害する兵器です」と授業で話すこともあった。七月下旬には、試験のため集まった百人余りの学生たちにコロナワクチンを打たないよう呼び掛けた。学部長が男性教授を注意した後だったため、学生たちに驚きが広がった。男子学生(19)は「また言ってるよ、という感じ。真に受ける学生はいないと思う」と語った。

◆典型的なデマ 社会問題にも

 この男性教授の主張について、東京大大学院の鳥海不二夫教授(計算社会科学)は「典型的な陰謀論」と指摘する。
 鳥海教授が今年一〜七月に短文投稿サイト「ツイッター」に投稿されたワクチン関連の四千八百万件を分析したところ、ワクチンと不妊の関連に限ってもデマが十万件ほどあり、その半数の出元は二十九のアカウントだった。
 「一部の投稿が雪だるま式に広がる傾向があり、コロナ禍のデマも同じ」と解説。同じような意見に繰り返し触れてデマを信じ込む「エコーチェンバー現象」が広がった可能性があり、「信じた人が抜け出すのは難しい」と話す。
 筑波大の原田隆之教授(臨床心理学)は、デマや陰謀論の影響で新型コロナのワクチン接種を受けない人が増加し、感染する人も増えれば「医療逼迫(ひっぱく)につながり、他人の健康や命を危険にさらすリスクがある」と語り、個人にとどまらず社会全体の問題だと指摘する。
 原田教授はインターネット上でコロナワクチンについてアンケートを実施し、全国の千人から回答があった。「デマを信じるのに学歴や教育レベルは関連がなかった。動画投稿サイトを情報源とし、政府への信頼感が低いほどデマを信じる傾向が見られた」と話す。

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