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中日春秋

2021年10月15日 05時00分 (10月15日 05時02分更新)
 大安、友引、仏滅など、暦の日々に吉凶をみる「六曜」は中国生まれだ。発祥の地ながら、識者からは<その義取るに足らず>と酷評されていた、と作家の陳舜臣さんが随筆に書いている
▼一方で、暦には特別な重みがあったらしい。古代の中国では、新たな王が立つと、暦も改まった。そのため暦を表す「正朔(せいさく)」という言葉が「天子の支配」の意味も持つようになっている
▼統治する者は暦をつかさどる者。そんな関係は、衆院解散を決める「大権」を持ち、暦に総選挙という重要な政治の日程を書き込むことができる、わが国の首相にも当てはまりそうだ。岸田首相が権利を行使した。内閣発足からたった十日という異例の早さである
▼異例はそれにとどまらない。総選挙の公示日と投票日は仏滅となった。なぜか日本の政治家に、六曜は重んじられてきた。戦後、仏滅が衆院選の投票日になったのは二回しかない
▼仏滅の総選挙は首相の合理主義の表れでもあろう。半面、就任後のご祝儀相場の熱が続く間に、あるいは経済政策などにぼろが出ないうちに、一刻も早くと急いだ結果にも思える
▼吉日を選ぶには政権にある種の余裕が必要だ。単なる迷信に思えて、「その義」は時の政権をめぐる事情を表すこともあろう。選挙戦でよく見たい点だ。ちなみに、議席の増減でいえば、過去の仏滅の衆院選で自民党は一勝一敗だった。

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