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<目耳録> 戦争の記憶

2021年10月14日 16時00分 (10月14日 16時00分更新)
 「戦地に行っていない私の話で本当に記事になりますか」。取材の終わりに、不安そうに問い掛けられた。
 「太平洋戦争中にインパール作戦に参加した父の自叙伝がある。父の体験を伝えたい」という福井市の稲田喜久郎(きくお)さん(71)を取材した。父親はビルマ(現ミャンマー)で衛生隊員として食糧調達や傷病兵の世話を担った。引き揚げ途中にマラリアに感染し、後遺症で記憶喪失に。復員後、戦争の悲惨さを伝えようと必死で記憶をたどり、自叙伝を書いた。
 稲田さんの心配は杞憂(きゆう)だった。記事を掲載すると、読者から「自分の父もインパール作戦に参加した」「自叙伝を読みたい」などの反響が寄せられた。
 戦後七十六年。戦争体験者から直接話を聞くことが難しくなってきている。戦争を知らない世代が、身近な戦争体験者の記憶を伝えていく大切さが身に染みた。 (成田真美)

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