本文へ移動

肺活量の広がりが顕著なソダシ…ハイペース必至の秋華賞で生かせるスタミナ能力【獣医師記者コラム・競馬は科学だ】

2021年10月15日 06時00分

このエントリーをはてなブックマークに追加
ソダシ

ソダシ

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 秋華賞で人気が集中しそうなソダシは夏以降の成長も顕著という。腕利き大ベテランの今浪厩務員は「栗東に戻って想像以上に成長した」と言う。
 肩周りの肉付きがよくなったとも言われているが、横位置からでは、札幌記念の段階とシルエットはほとんど変わらない。顕著に異なるのは縦位置の外見だ。胸前に幅が出ている。
 1週前も13日も、追い切りは栗東坂路だったからVTRが前方向からの馬体観察を可能にしている。オークスの直前追いも栗東坂路だったから、両者を並べて比較すると分かりやすいかもしれない。両前肢と体幹との接合部はひじ関節近辺にあるが、両ひじの間隔が秋の方が拳ひとつ分くらい広い。走行時の腕節(いわゆる前ひざ)の取る間隔で比較しても秋の方が開いている。
 関節の位置関係が変わっているので、筋肉の厚みの問題よりも骨格が変わったための成長だ。胸郭全体が横に広がって、幅を見せている。それに伴って広がったスペースを埋めるべく表層の筋肉も増えてはいるだろうが、運動能力に利いてくる部分として最も大きな変化は胸郭容量の増大だろう。肺は胸郭の内壁にぴったりくっついているから、胸郭の容量はほとんど肺の容量と一致する。胸郭が広がれば、肺活量も広がる。
 新型コロナウイルスの流行で、肺炎の病態がよく知られるようになり、血中酸素分圧が例えば「90%」というのは、人では正常値よりかなり低地であるということが一般にも知られるようになった。サラブレッドは疾走時に肺でのガス交換が追いつかず、血中酸素分圧が90%を平気で下回る「運動性低酸素血症」という現象が知られる特異な動物だ。
 スタミナ能力の指標には、厳密には肺でのガス交換効率や酸素が送り込まれた先の筋肉での酸素利用効率なども利いてくる。しかしサラブレッドではこうした事情から、肺活量はスタミナ能力の突出した限定要因と考えられる。顕著に肺活量の広がったソダシは、ハイペース必至と言われる秋華賞でも先行してしのぎきることができるだけのスタミナ能力が備わったと考えてよさそうだ。

関連キーワード

PR情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ