明日も生きようと 思える舞台に 「ラ・トラビアータ」2月16日金沢公演 

2020年1月25日 02時00分 (5月27日 05時07分更新)

演出の矢内原さん 地元合唱団指導

 国内外で高い評価を受けるダンスカンパニー「ニブロール」代表で振付、演出家の矢内原美邦(みくに)さんが初めてオペラの振り付け、演出に挑むヴェルディの歌劇「ラ・トラビアータ」(椿姫)が二月十六日午後二時、金沢市の金沢歌劇座で上演される。今月九日、矢内原さんが同市を訪れ、地元の合唱団に振り付けを指導した。「これまでにないオペラを作りたい」と意気込む。

地元の合唱団に振り付けをする演出の矢内原美邦さん(左端)=9日、金沢市民芸術村で

 時代設定は、現代かそれよりちょっと先の未来。主役のビオレッタが、なんと引きこもり、社交界の場面はネット上にあるという設定だという。稽古でも、携帯電話を見ながら合唱団のメンバーらが動き回った。「合唱団の皆さんにはいつもよりは難しいことを求めるかもしれないが、プロとして舞台に立ってもらいたいと思っている。一緒に、いつもと違った経験ができたと思ってもらえれば」
 十九世紀、パリの社交界を舞台に、貴族と高級娼婦(しょうふ)の悲恋を描いた「椿姫」。矢内原さんは「私たちは限られた命で、体を変えることはできないし、経験したことからしか次に踏み出すことできないけれど、ビオレッタはそれを言っているような気がする。『やっぱり明日も生きよう』と思ってもらえる舞台にしたい」という。
 「きらびやかな世界というより、常に影がある世界を考えている。ビオレッタが抱えている困窮や社会の窮屈さ、階級といったものは今もなくなっていない。そこが魅力。影を持ちながら、それでも生きようとする。だからこそ強い。民衆である人たちの残酷さ、優しさとか、ビオレッタに影をどのくらい抱えさせられるかは、コーラスの人たちのあり方にかかっている」
 矢内原さん主宰のニブロールは、身体と映像、音楽などを融合させ、現代の時代感覚を切り取った表現を探求する舞台で評価を受けてきた。映像を駆使した舞台装置、斬新な意匠も楽しみだ。「とてもいい映像ができてきた。映像センスがおもしろいし、それを信じてオペラの世界に飛び込んでみたい。オペラを知らなくても、美術の好きな人、演劇やミュージカルの人は楽しめるはず」と力を込める。
 ビオレッタ役に、イタリア出身で世界的なソプラノのエヴァ・メイさんを迎えるほか、国内外で活躍する歌手陣が出演。スウェーデンのイエーテボリ歌劇場の音楽監督を務めるヘンリク・シェーファーさんが、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)を指揮する。
 全国共同制作で二月九日に福島県白河市、二十二日には東京・池袋でも上演。金沢公演のチケットは一万二千円~五千円。二十二歳以下千円。問い合わせは、石川県立音楽堂チケットボックス=076(232)8632または金沢歌劇座076(220)2501=へ。

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