【雨乃日珈琲店だより ソウル・弘大の街角から】(29)コロナ禍 韓国政府の対応

2020年5月23日 02時00分 (5月27日 05時07分更新)

5月9日、弘大のクラブに1カ月間の集合禁止令が出されたが、今回の措置による市からの補償はない。クラブやライブハウスのオーナー、ミュージシャンの暮らしは大変だ=ソウルで

◇ 文・清水 博之 ◇ 書・池多亜沙子

… 緊急支援金で残念な思いも …

 世界的なコロナ禍の中、「お店はどう?」とメールをいただくことが多いが、雨乃日珈琲店は幸い、休業することなく無事に営業しております。
 二月下旬に起きた宗教施設発の感染拡大以降、緊張感が高まった韓国。三月から「社会的距離の確保」として、市民への外出自制と一部の施設(宗教施設、室内体育施設、遊興施設)への運営中止が要請され、それは五月五日まで続いた。
 実はその間、カフェや食堂、バーなど「一般飲食店」には休業要請が出されていない。感染拡大に注意しながらも営業を続けることができたし、自粛すべきだという雰囲気にもならなかった。ただし市民は外出を恐れ、飲食店は軒並み訪問客が減った(当店も例外ではないが、従業員を雇わない規模なので損害も大きくない)。

「節約」(2019年)つつましいこと

 都市封鎖を行わず、徹底した検査と感染者の動線調査で、感染を最小限に抑えた政府の手腕は国民から支持されている。韓国に住む外国人としても拍手を送りたい一方で、残念に思う面もあった。政府は五月、「緊急災難支援金」として国民全世帯に約三万五千円~八万七千円を配布し、ソウル市など各自治体も同様な制度の緊急生活費を支給したが、私たち外国人居住者は対象から外されたのだ(政府の支援金については、結婚移住者など世帯内に韓国人がいる場合と、永住権所有者は対象に)。これは韓国人と同様に納税していても関係なく、「外国人だから」と差別を受けたような思いをした。
 連日の新規感染者数が一桁台となった四月下旬には、人々は安心して外出しはじめ、街は活気を取り戻した。しかし連休明けの五月上旬には、梨泰院(イテウォン)のクラブに感染者が現れたことをきっかけに百人以上が感染。弘大でも感染者が確認され、先週末はまた閑古鳥が鳴いた。当分はこうして、状況が良くなったと思えばまた元に戻る事態が続くのだろう。先の見えないことに悩みすぎず、今できることに力を注ぎ、つつましく暮らしていくしかないなと思っている。 (しみず・ひろゆき=ライター、いけだ・あさこ=書家、金沢市出身)
※【お断り】五月三十日の北陸文化面は休みます。

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