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<土曜訪問> 山本一生さん(近代史家、競馬史家)

2021年10月9日 16時00分 (10月9日 16時00分更新)
山本一生さん

山本一生さん

 六月に出た『百間、まだ死なざるや−内田百間伝』(中央公論新社)は、没後五十年を迎えた作家内田百●(ひゃっけん)(一八八九〜一九七一年)の初の評伝だ。執筆したのは、「日記読み魔」とも呼ばれる山本一生(いっしょう)さん(72)。百●の日記と作品を中心とする文献から、家族や友人、先輩・後輩、弟子たちとの交わりを丹念に追って、明治、大正、昭和を生きた人間・内田百●を浮き彫りにした。
 三島由紀夫が「現代随一の文章家」と評した百●。幻想的な小説『サラサーテの盤』や『東京日記』、ユーモアあふれる『百鬼園随筆』などで知られる。その人物像はといえば、気難しくて涙もろく、借金が絶えない、といったイメージが強いかもしれない。
 「今までと違うこと、言われてなかったことは書きたいと思いました」と山本さんは振り返る。参考文献だけで二十五ページに及ぶ約五百七十ページの本書には、百●と関わる多くの人物が登場する。とりわけ印象的なのは、ドイツ語を教えた法政大学の学生や弟子たちとの関係だ。
 一年生がゲーテの「ファウスト」のドイツ語劇をやりたいと訴えると、百●は驚きながらも<折角やると云ふものを止めろと云ふにも当たらない...

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