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豚熱3年 終息はまだ見えないが

2021年10月9日 05時00分 (10月20日 12時32分更新)
 国内で二十六年ぶりに豚熱が発生してから、先月で三年が経過した。新型コロナ同様、終息は見通せず、“目に見えない敵”を相手に、各地で手探りの戦いが続く。
 豚熱は二〇一八年九月に岐阜市内で確認されたあと、全国に広がった。農林水産省の八月時点のまとめによると、全国十四県で七十一件の発生があり、殺処分の頭数は二十五万を超える。
 新型コロナの陰で、豚熱の感染もいまだ断続的に続いている。
 今月五日には滋賀県の養豚場で新たに発生し、県は約千四百頭の殺処分を決めた。そんな中、ワクチンの接種が進み、国際獣疫事務局(OIE)に「非清浄国」とされはしたものの、養豚業の再建に向けた動きも加速する。
 約七万頭、県内飼養頭数の六割以上が殺処分された岐阜県では、全頭処分で空っぽになった二十の養豚場のうち十三場が、この八月までに出荷を再開した。
 岐阜県畜産研究所などが開発した霜降りの割合が多いブランド豚「瑞浪ボーノポーク」は一昨年二月、生産拠点となる養豚場で豚熱が発生し、五千七百六十五頭すべてが殺処分された。
 しかし、野生動物の防護柵を設置するなど感染対策を施した上で県内の繁殖養豚場から幼豚を買い入れて速やかに飼育を再開、十月には出荷を復活させた。昨年六月には、瑞浪市がハムやソーセージなどの加工品を製造する「ハム工房」をオープンさせた。近くバーベキュー場を整備する計画も進んでおり、業界を活気づけている。
 市内飼育頭数の三分の一、約三万八千頭が殺処分された愛知県田原市でも、全頭処分を余儀なくされた二十戸中八割が経営を再開させている。
 岐阜県では、ボーノポークの出荷が復活した一昨年の十月以降、県内の養豚場では感染が出ていないというものの、ウイルスを媒介する野生のイノシシの感染は確認されている。関東などでは、ワクチン接種を終えたはずの養豚場でも新たな発生が相次いでおり、県は先月、県内の養豚場で消石灰の散布による一斉消毒を実施した。
 ワクチンに頼らず、衛生管理を怠らず、ウイルスの移動、拡散を可能な限り妨げる。発生に備えた初動態勢を整えておく。そしてそのことが再開された経済活動の持続可能性に結び付く−。これもコロナと同じである。

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