入試で「代読」未来開けた 石川県立高で初の実施 学習障害の生徒

2020年5月6日 02時00分 (5月27日 05時06分更新)
 今年三月に行われた石川県立高入試で、読み書きの学習障害(LD)と診断されている生徒のために、県教育委員会が学校関係者による問題文の「代読」を初めて認めていたことが、関係者への取材でわかった。障害のある人と無い人の平等な機会を保障する障害者差別解消法で義務づけられた「合理的配慮」に当たる事例で、金沢星稜大の河野俊寛教授(特別支援教育)は「代読は全国でも例は少ない。障害のある子と親にとって励みになる」と話す。(阿部竹虎)
 関係者によると、代読を利用したのは県内の男子生徒。入試に合格し、入学した高校は新型コロナウイルスの影響で休校になっているが、再開後の学校生活を楽しみにしているという。
 生徒は保育園に通っていた五歳のころ、しゃべる速度が遅く、発音もはっきりしないことから専門の病院で訓練を受けた。その後、小学一年で読み書きのLDと診断された。
 小学時代は板書を追うのが難しかったことから、その内容を書いたプリントを配布してもらった。中学時代は夏休みの宿題で出された作文のパソコン使用を認めてもらうなど一定の配慮を受けながら、学校生活を送ってきた。
 高校入試では大きな課題に直面した。間隔が詰まった小さな字を読むのに時間がかかるため、代読を申請することに。他人が読みやすいよう同じ大きさで字を書き続けることに神経を使うため、事前に中学校を通じて高校側に普段書いている字を見せ、考慮してもらった。
 県立高の募集要項には、学力検査での「特別な配慮事項」として座席の移動や別室受験、問題用紙の拡大、拡大鏡の使用、車いすによる受験、「その他」など十項目が明記されている。県教委によると、配慮を希望する生徒は中学校長を通じて高校に申請書を提出し、高校側が県教委と協議してどう対応するか判断する。今回のケースについて県教委の担当者は「全国的に柔軟な対応を求める動きがあることも踏まえた」と話した。
 生徒の好きな科目は数学で、生徒は取材に「長い文章を読む必要が無く、解いていくのが楽しい。(将来の志望は)理系です」と笑顔を見せた。母親は「代読によって本人は力を出すことができ、うれしかった」と話した。
【メモ】合理的配慮=車いす利用者のために建物入り口に段差スロープを設置したり、知的障害のある人にルビを振った分かりやすい資料を手渡したりするなど、障害者が社会生活を営む上で必要な対応を指す。2016年4月に施行された障害者差別解消法で、国の機関、地方自治体、民間事業者に義務づけた。 

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