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県九谷焼技研の卒業生5人 先見えぬ不安作品に

2021年10月6日 05時00分 (10月6日 12時33分更新)
会場となる趣のある町家で展示の企画を練る若手作家たち=能美市寺井町の私カフェで

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  • 出品予定の作品
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能美で13日から「五つの檸檬」展

 九谷焼作家を目指す県九谷焼技術研修所の卒業生5人が13〜18日、能美市寺井町の町家「私カフェ」で作品展を開く。「五つの檸檬」と題し、若者の孤独や葛藤を描いた小説家梶井基次郎(1901〜32年)の小説「檸檬」に、若手作家としての先の見えない不安や焦りを重ね、思い思いに創作した作品を並べる。 (坂麻有)
 展示を開くのは、大岩千珠さん(44)、島田琉生さん(21)、武田茜さん(31)、林優花さん(22)、ヨコヤカオルさん(31)の五人。研修所の同期だが、出身や経歴は全員ばらばら。会場には作風の異なる五人が、十五点ほどの造形作品を出展する。動植物をモチーフにした作品や、九谷五彩で絵付けされたオブジェを並べる予定。間近に迫った作品展に向け、企画や案内はがきの制作、会場設営を全て自分たちで手掛けている。
 武田さんは介護職員だったが、「人生を後悔しないように」と退職して九谷焼の世界に飛び込んだ。「不安な自分と別れ、心機一転やりなおす」との思いをこめ、真っ白なお面をかたどった作品に取り組む。
 インターネット上で作品を紹介し、研修所在学中から美術バイヤーの目に留まる若手も。大岩さんはその一人だが、「出品のたびに重圧との戦い。全く売れなかったらと怖くなる」と明かす。
 名の知れた作家になるのはほんの一握りの厳しい世界。研修所を卒業し、弟子入りや工房で働くなどおのおのの道を踏み出した五人は、「少しでも多くの人に自分たちの作品を知ってもらえたら」と思いを託す。
 町家は同町の庄川良平さん方で、築百年余がたち、趣がある。かつて九谷焼の輸出業を営んでいた庄川さんは「新型コロナ禍で作品発表の機会が奪われた若手作家を後押ししたい」と会場として貸し出した。「五人がいつか手の届かない作家になったら」と優しく見守っている。

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