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<大波小波> 警察小説がつなぐミャンマーと日本

2021年10月1日 16時00分 (10月1日 16時00分更新)
 月村了衛(りょうえ)『機龍警察 白骨街道』(早川書房)は、日本とミャンマーにまたがる巨大な陰謀が描かれる。
 軍事機密を海外に持ち出した君島がミャンマーで逮捕された。傭兵(ようへい)として警視庁と契約している姿、ユーリ、ライザは、君島を日本に移送するため、ミャンマー国軍とロヒンギャが戦う国境の紛争地帯の中にある収容施設へ向かうが、何者かの襲撃を受けてしまう。
 迫真の戦闘は、イスラム教徒のロヒンギャが仏教徒の多いミャンマーで民族浄化の危機に直面し、民主化運動のリーダー、アウン・サン・スー・チーもロヒンギャの弾圧を阻止できなかったなど、日本ではあまり知られていない現地情勢を浮かび上がらせていく。
 さらに著者は、姿たちの苛酷な撤退戦を、多くの餓死者、病死者を出したインパール作戦に重ね、先の大戦中に日本軍が支援した仏教徒と、イギリス軍が組織したイスラム教徒が戦った遺恨が、ロヒンギャ弾圧の原点になった史実までも掘り起こしてみせるのだ。
 現在のミャンマーでは軍事政権が民主化運動を弾圧しているが、軍関係企業に日本の企業が投資していたことが国際的に非難されている。本書は、ミャンマーの混乱が、今も昔も日...

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