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<三河撮りある記>(91)岩屋緑地のクローバー畑

2021年10月3日 05時00分 (10月3日 11時53分更新)
 桜並木の間で、幸せを呼ぶ四つ葉のクローバーが風に揺れていた。週末に親子連れらでにぎわう豊橋市大岩町の岩屋緑地に広がるクローバー畑だ。「だが、なぜ桜の木のそばにクローバーがあるのか?」。管理する里山ボランティア「岩屋緑地に親しむ会」の西川収示会長(77)に疑問をぶつけると、クローバーと桜の関係を教えてくれた。

岩屋緑地に生えていた四つ葉のクローバー。2歳の女の子がそっと手に取った=豊橋市大岩町で

 豊橋公園、向山公園と並び「豊橋三大桜の名所」といわれる岩屋緑地。だが二十年ほど前、多くの桜の木々が枯れ、花が咲かなくなった。原因はコナラやシイといったドングリを付ける高木。背の高い木々に囲まれる中、桜は十分な日光を得られなくなっていた。
 桜のある景観を残すため、地元住民からコナラなどの間伐を求める声が上がったが、管理する市は緑地保護の観点から許可しなかった。西川会長は「桜を残すことは難しいと思っていた」と振り返る。
 転機は四年前。市制百十周年の記念事業として、岩屋緑地の桜を再生する事業が決まったことだった。親しむ会と市は共同で定期的に植樹会を開くこととなり、緑地南側の日当たりの良い広場を活用。地元の子どもたちを招待し、延べ三百本以上の桜の苗木を植えてきた。
 だが桜が咲き誇るまでには何年もかかる。市職員が思いついたのが、周辺にクローバー(シロツメクサ)を植えることだった。シロツメクサなどマメ科植物の根に含まれる根粒菌は、大気中の窒素をアンモニアに変え、植物の育成に良い土壌をつくることで知られている。子どもたちが種をまき、桜の木々の間にクローバー畑が誕生した。
 新型コロナウイルス禍で、風通しの良い広場に来る機会が増え、クローバーを摘む親子連れの姿も目立つように。「自然に興味を持つきっかけになればいいね」と話す西川会長。これからも、子どもたちの笑顔と歓声がクローバー畑を包むことを願っている。
  文・斎藤徹 写真・太田朗子
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