本文へ移動

支縁の形<12> 倉沢ラブリna牧場(菊川市)

2021年9月26日 05時00分 (9月26日 05時02分更新)
ポニーのモヒと触れ合う小林雅幸さん(左)と本田七生さん=菊川市の倉沢ラブリna牧場で

ポニーのモヒと触れ合う小林雅幸さん(左)と本田七生さん=菊川市の倉沢ラブリna牧場で

 モヒカン刈りだったたてがみは、すっかり伸びて落ち着いた。九歳の雄のポニー「キャラメル・モヒ」が埼玉県から菊川市の倉沢ラブリna牧場にやって来て一年余り。牧場を運営する市内のNPO法人「うまのあと」の理事長、小林雅幸さん(44)が思い描く「馬と人の集う場所」としての活動が十月、いよいよ本格的に始まる。

◆馬と人が集う

 本業は消防士。馬が好きで、数年前に乗馬クラブで初めて馬に乗るとますますほれ込んだ。「存在感、エネルギーがものすごかった」。まちづくり講座に参加したことで「馬の力を地域に還元できないか」とひらめいた。馬が人の生命力を増幅させ、人同士を結び付けると考えた。
 馬に触れ、世話をすることで癒やされ、精神的な健康を回復するホースセラピーや、馬ふんを使う循環型農業、観光資源への活用を活動の軸にするNPOを、昨年二月に設立した。知人らに声を掛け、牧場作りに着手した。
 足りない資金を補うため翌月、勇気を振り絞ってクラウドファンディング(CF)に初挑戦した。会員らが知人や会員制交流サイト(SNS)で広め、全国の馬好きな人たちが賛同してくれた。一カ月半で目標の五十万円を達成し、主にモヒの購入資金に充てた。
 CFで支援してくれた人々が新たに加わり、会員は十九人に。昨年九月、地域住民の力を借りて手作りの牧場をオープンした。以来、会員とボランティアがシフトを組み、毎日モヒを世話する。調教や餌やり、ふんの掃除、運動といった手入れは欠かせない。
 そのうちの一人で元乗馬インストラクターの本田七生さん(54)=菊川市=も、CFをきっかけに活動に加わった。CF当時は大腸がんの再発で治療中。抗がん剤治療をしながら週一回、モヒを世話した。最初は倉庫のシャッターを上げる力もなかった。一年余りたった今は見違えるように元気になり、毎日通う。「これまでは一年以内に再発していたけど、再発がない。馬の力はすごい」とセラピー効果を実感している。

◆不登校の子も

 不登校だった子どもがモヒと触れ合った翌日、登校できたこともあった。当初は人に触れさせなかったモヒもすっかり人慣れした。
 オープンから一年の準備期間を経て、十月から来年五月までの月一回、モヒの世話をするお仕事体験会を開く。馬との触れ合いは非言語コミュニケーション。「しゃべらなくて済むから、引きこもりの人のアプローチにいいのでは」と小林さん。社会福祉協議会や行政と連携し、人間関係が苦手な人々を受け入れたいと構想を練る。「うまのあと型のホースセラピーを全国に広めたい」と、夢は大きい。
 (河野貴子)

関連キーワード

PR情報