中日に感じられないモチベーション…“戦う目的失った集団”の弱さ 順位や雑音に惑わされず、最後までプロであれ
2021年9月25日 10時08分
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇24日 ヤクルト3―0中日(神宮)
エースが投げて、相手先発の高梨は2カ月半ぶりの1軍マウンド。それなのにスコア以上の敗北感が漂うのは、選手のモチベーションの差なのだろうか。
10年前の9月24日も、ヤクルト戦(ナゴヤドーム)だった。首位を走るヤクルトに3連勝し、一気に2・5ゲーム差に詰め寄った。前日の井端弘和に続いて、谷繁元信がサヨナラ打で決めた。生還したのはどちらも荒木雅博。鬼気迫るヘッドスライディングと、殊勲の谷繁の頭を落合博満監督がなでる姿はこのシーズンの名場面である。
東日本大震災で開幕が遅れた2011年のドラゴンズは、したたかでタフではあったが、決して横綱ではなかった。東京五輪で変則日程となった今季と、9月24日時点での消化試合はピタリ同じの121試合。10年前は62勝52敗7分けだった。貯金10と借金12。この天と地の差はどこにある? 実は総得点は今季の方が多い(351と358)。あまりに飛ばず、現場を大混乱させた「統一球」だったという事情はあるが、最終的なチーム打率(2割2分8厘)、総得点(419)はいずれもリーグワースト。極貧打線でもペナントを握れると証明したチームだった。
まだ追う立場だったのに、誰もが抜くのは時間の問題だと思っていた。首位奪回は10月6日。落合監督が宙に舞ったのは18日のことだった。
あれから10年。ヤクルトからは感じるモチベーションが、中日には感じられない。戦う目的を失った集団は、こうも弱いものなのか。しかし「負けてもいい理由」なら10年前にもあったはずだ。落合監督の退任が発表されたのは9月22日。契約書に定められた時期に従い、やむを得なかったのだが「この時期に?」という外野の声は選手の耳にも届いていた。しかし、離されるどころか詰めより、抜き去った。落合監督がこう言っていたのを覚えている。
「選手は誰のために戦っているんだ? 自分たちの生活のためだろ。オレはそんなやわな教育はしていない」
順位や雑音に惑わされず、最後までプロであれ―。今の選手に伝えてあげられる唯一の言葉だ。
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